Million Notes

刀ミュ・歌・演劇の話をしまっておくところ

【前半】歌合 乱舞狂乱感想 -歌と刀とかみさまと-

 

歌合、たのしかったーーーーーーーーーーー!!

 

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そしてDVD&Blu-ray発売おめでとうございます!!
気づけば初見からもう半年以上、お前どんだけ書き続けてたんだってシロモノになってしまいましたが、もう毎年のケジメみたいなものなので…。ちゃんとまとまった感想残しておこうと思います。

 

★メイン推しは一応みほとせ組ですが、本丸みんな大好きです。
★作った人そこまで考えてないと思うよ案件を多分に含む ×考察 〇感想 です。
★ちょっと細かめに補いながら書いてるところもあるので、適宜サクッと読み飛ばしつつご覧ください…。

 

<目次>

 

 

まえがき


乱舞祭2016の『刀剣男士とは』。
乱舞祭2017の『物語とは』。
乱舞祭2018の『祭とは』。

昨年の集大成で『真剣乱舞祭』は一端幕を閉じ、新たな演目『歌合 ~乱舞狂乱~』になって帰ってきました。
(2017感想文:https://privatter.net/p/3060126
(2018感想文:https://privatter.net/p/4392915


テーマは勿論『歌とは』

サブタイトル発表されたときから、
「ミュージカル本丸が、ついに”歌”に真っ向勝負挑んできた……この制作陣が半端なことするわけない……」
って震えあがってたんですが(((∵)))
感想としては


どんな神業使ったら、刀剣乱舞に「歌・刀・神」の要素をここまで詰め込んで一本の作品に練り上げられるんだ!!?


って顎が外れて滑って飛んでいくような作品でした…。
その辺全部言及してくとえぐい重量になってしまうので、細っけえ話は潔く補足記事に回します!!笑


そして(既に言い尽くされてることではありますが)もうひとつ。
お芝居のパートをぐっと増量して『本丸で日々を暮らすミュ男士たち』を垣間見せてくれたことが、あの本丸のファンとして本当にうれしかったです。

碁を打つときの癖。
れっすんに励む子とそれに付きあう子。
おやつをくれるくれないの押し問答。
最近改良された畑の土に、お風呂上がりの髪の扱い。

日常のちょっとしたやりとりが、彼らが”生きている”ことへの立体感を与えてくれる。
しかもそれを、ちょっとした謎や不思議→その解答っていう折り目正しい短編オムニバス形式で見せてくれた上に、


「ところで、そもそも彼らは何やってるの…?」(謎)
  ↓
「ああああー!! そういうことだったのか!!!!!」(解答)

 

っていう大きな流れに繋がってくあの構成!!もーーーーーーたまらん!!!
それを達成するために、「アリーナクラスの会場でミュージカル」っていうどでかい無茶をしてのけたことまで、本当に、本ッ当にすごい。

毎年言ってるけど、毎度全セクション全力の創意工夫と研鑽奮闘の上で成り立ってるだろう、とんでもないエンタメを見せて貰ってます…。
いやーーーー……幸せですねえ……これも毎年言ってるね……。
そんなわけで、ここまで前置きでした!以下本編!!

 

 

前説

脇差かわいい~~~~*´`
キャスト前説あるから早めに席ついてね~って何回もアナウンスされてたけど、そりゃ良い子で15分前着席しますよあんなん。

堀川くんの兼さんモノマネが可愛かったり、物吉くんのあるじさまイジりがプロかったり、回替わりも毎回楽しかったですw 腕利きサポート集団・脇差組!!
あと最後に何が起こるか知ってる状態でイネイミヒタククを一生懸命練習してる篭手切くん見ると、がんばれ…がんばれ…ってほろっときますね…。

脇差の誰かさんがあの枠に入ってないのまで含めて楽しすぎる。
来年はこの脇差組に浦島君が加わるんでしょ…むりじゃんね…。
ううう虎徹脇差も揃ってほしいなぁ。審神者P、大変だと思うけど出陣登録どうかお願いします!

 

 

奉踊


今年は最初からクライマックスだぜ!!!!!!!!!!!!!


初日のあそこの「ヒエッ!!?」って気持ちめっちゃ覚えてます。

謎めいた巨岩。
ろんろん響く金属音。
神秘的な煙に包まれた一振の刀。
まるで幻影が湧き出るように現れる、白装束の男士達…

と思ったら \火柱ボーーーーーーーーン!!/ からの、座頭市タップを思わせる和太鼓、ハッ!ハッ!ハッ!の掛け声に手拍子足拍子!!
ななななに、何はじまった!?ってめちゃくちゃドキドキしました。
最初の\カッ!/で俯いた男士が一斉に顔上げるとこの、うっすらホラー感すらある迫力が大好き。

 

もおおこの!前から見ても後ろから見ても優勝デザイン!ありがとうございます!!

冒頭で滑り出てきた青江が、立ち止まる瞬間にカクンッて首揺らすところ、人形というか無機物じみててゾクッとしました…。
あとあのー、何ていうんだろ、いまつるちゃん達が斜め回転しながら手前に飛び出してきて、袖を振り下ろすようにダンッ!て着地するところめっちゃ好き…。
和服慣れした平安刀組はやっぱり美しかったですね袖さばき。でも物吉くんや御手杵みたいな洋装組の浄衣姿も嬉しかった!

”袖振り”が”魂奮り(たまふり)”に通じる生命力励起・魂呼びのおまじないだよみたいな話を去年の乱舞祭感想で散々したけど、それの全力ビジュアライズされたものを見てる感じでした。
上に下に翻る袖、回転につれて広がる裾、息を合わせて躍動する群体の迫力、もう熱かったのなんの。

巨岩信仰×今回のストーリー燃えについては補足記事にてゆっくり書きます!

 

 

神遊び

神性MAXの鶴さん、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、しぬほどかっこよかったですね…!!!

「歌とは、ひとびとがその思いを、よろずの言の葉に託したもの。」

ときに神々の心をも動かすのが、『歌』に込められた想いの力。
口火を切る一番最初の台詞で、この作品における『歌』の定義をばちこーんと叩きつけてくるのだけで「ウオォやばい…」ってなってたのに、

 花の香に昔をなつかしみ
 鳥のさえずりに耳をすまし
 風に散る草葉の露にたもとを濡らし
 月傾く雪の朝に春を思う

微笑みながら優雅な美声で花鳥風月を語る鶴丸国永とか、夢に見たことさえなかったよ!!なにあれ…!!
うちの歌仙さんとか、多分このへんから配信かぶりつき最前列鑑賞ですよ。文系名刀オッケー頂きました。
どう考えても新刃の貫禄じゃないよあんなの…初見さんが見たらあの大所帯の座長ポジションの実力者だと思うでしょ…。


からの「さあ、歌え──さあ、遊べ!!」、そして鶴丸・小狐丸・石切丸が歌い出す

 いかばかり よきわざしてか あまてるや
 ひるめのかみを しばしとどめん しばしとどめん ──

 (どれほど良き業を行えば天が照らされるだろうか
  昼目神=天照大神をここにとどめたいことだ)

息が合ってるーーーーーー!!最後の「とどめ”ん”----」の低音が弦楽器みたいでめっちゃ好き…!!
歌詞は大嘗祭の神楽『昼目歌』より。
『歌合~乱舞狂乱~』の歌い始めがこれなの、もうほんっっとかっこいい!!

神楽は元々「かみあそび」と読むのが正しかった、なんて話もありますが
(かぐらは、いにしへは、神あそびとぞいへる/本居宣長『玉勝間』)
曲名『神遊び』の歌に神楽歌持ってくるのがもう…1曲目からガチofガチのやつ…。

 

「よきわざ」を文字通り善行と読んでも良いですが、ここは「良い芸能を見せたら」って取りたいと思うんですよ。
ご存じ天岩戸隠れの神話、

天照大御神が岩戸の中に隠れちゃったけど、アメノウズメという女神が俳優(わざおぎ/激しい身振り手振り)を行い、再び引っ張り出すことに成功した
・日本の鎮魂祭、そして芸能の始まりとされる神話でもある
・岩戸隠れは死の暗示、そこから再び姿を表すことは生命の復活と考えられる


これを思うと、オチを知ってる今となっては新男士を天照になぞらえての

 鶴狐石「「「さーて、歌と踊りの力で新たな神様を呼び起こしますか~!」」」

って宣言にも聞こえると!思うんですよ!勝手に!!笑
霊力ガチっぽい平安刀並べてくるあたりにミュ審神者Pの本気がうかがえます。怖いわ。加減して。

 筆を持て (あぶりだされる本性)
 歌をつづれ(さらけ出される欲望)

ただ美しいばかりでなく、欲を暴き、炙り出す力を歌う男士達にはゾクゾクさせられました。
あと杵くんの「かみがみにささげるうた 交わされるうた」の低音は良すぎた…。
本公演1部の勇ましい武人曲とも、2部のアイドルソングとも違う、『付喪神』サイド全開の曲が聴けるのも年末フェスの醍醐味ですね!!!

 

 うたうたう さくらさく おとおどる あなたとうたあわせ
 ひだりに みぎに あおに あかに 神のまにまに


手を差し伸べる振りにつれて、画面全体がゆら、ゆら、ってゆれるの、くらくらするほど神々しかったよ…。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ここから短編集パート。
形式としては

 

①今剣ちゃんが左方(赤/万葉集)・堀川くんが右方(青/古今集)の講師として、和歌を一首詠みあげる

wikiでは逆になってますが、後世の歌合の模範となったといわれる天徳四年内裏歌合やさらに歴史の古い亭子院歌合では、左方が「赤色ニ桜襲」右方が「青色ニ柳襲」の装束だったとあります『殿上日記』『亭子院歌合日記』)

②それにちなんだ短編エピソードが語られたのち、今度は主人公の男士がその和歌を短冊に書きつけて火にくべる

 

という形で進んでいきますね。
前半は現実の『歌合』に取材しているけれど、まって後半のその行動なんなの!?(゜、。;)感が、初見時すごい楽しかったですw

予習していったからこそ、逆に混乱させられるっていうこのニクさ…!
おのれミュ審神者P!! すき!!笑

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

懐かしき音

(脚本:浅井さやか)

 

あめつちの かみをいのりて あがこふる きみいかならず あはざらめやも
万葉集:天地の神々に祈りをささげて思い焦がれているあなたに、逢えないということがあるでしょうか?いいえ、必ず会えるはずです。/作者不明/巻13 3287)


舞台に現れたのは、縁側、碁盤、そして内番姿の石切丸。
碁石が鳴る音を聴いて、
「この音を知っている、なんだか懐かしい気がする。さて、何の音だっただろう…?」
と浮かんだ疑問に、本丸の仲間たちが「自分はこの音に聞こえる!」って答えていく筋立てでしたね。

この!!ミュージカル刀剣乱舞 ~花丸~ 的なほのぼの多キャラ話!!
こういうのを見たかったんですよ…!!!!
あの本丸の子たちが、部隊跨いで楽しそうに過ごしてる姿をたっぷり見たかった~!
しかもトライアルから作詞で刀ミュ本丸に携わってきてくださった、浅井さやか先生の脚本で見られて…ミュ本丸の彼らの物語と、ほんとにしっかり地続きで…。
すごく幸せでしたありがとうございました。
(好きすぎてこのパートだけやたら長話になりました…!他はここまで長くないです!笑)


まず冒頭の曲が良かったですよねえ…。
目を伏せて耳を澄ます横顔がお人形さんのようだし、「いつの日の記憶か…」の音、クラリネットみたいな優しい柔らかい音色が堪らないです。

「思い出せないなぁ、なんだっけな…」って話なのに、全然ジリジリモヤモヤした感じが無いのは、ひとえに丸さんのご刃徳ですね(笑
これまですべてのフェスで「一話目」「先頭」を担ってきた祭礼刀・崎山丸さん、4年目ともなれば小動ぎもしない安心感でいらっしゃいます。
(北海道公演では、音の問題か絵面の問題なのか、碁石鳴らすときにガシャ!!ジャラッジャラッ!!って結構大振りな動作してて、い、石割れちゃう!お手柔らかに!!;って焦ったんですが、最終的にはだいぶ自然な感じに落ち着いてて安心しましたw)

 

碁盤囲んで平安太刀がつるんでるあの空間も嬉しかった!!

鶴「ここで切れないようじゃ、石切丸の名に恥じるんじゃないか?(`・∀・)」
石「私は戦があまり好きではないのだけれ、ど。」
鶴「って言う割に、ずいぶん好戦的な手を打って来るじゃないか」

石「(石を取られて)あっ!君も…!」
鶴「これくらいやるさ(`・v・)」
石「じゃあ……、ここ」
鶴「うぇっ!?」

はい大好きなやつーーーーーーーーー_(:3」∠)_
戦は専門じゃないといいつつ攻め手が積極的な丸さん vs 軽口で挑発しつつ意表ついてくる鶴さんの攻防戦!
こんなのミュ三条好きの急所に刺さるに決まってる…!!
かと思えば

杵「その音、──ああ、いや、なんでもない」

陸「ぱちぱち、ちゃりちゃり。そろばんじゃ!」

物「よくお相手をしたものです。ね!」
伽「…そうだったな」

炎の夢、商い上手の龍馬、家康に仕え育てた時の思い出…
ひとつの音から、来歴・元主・過去の作品の出来事、さまざまな物語を想起する男士に次々ギュッて胸掴まれるから、ミュ本丸だいすきおばけは1話目でHP半分以上持ってかれましたよね…早いわ…


そして種明かしされる、丸さんの”音”の正体ですよ。

 いま私の耳をくすぐる 乾いた石の音
 この音に似た響きを 私は知っている
 そうそれは──
 「この音だよ!」

それは石切丸の根幹をなす、”人々が祈りとともに玉砂利を踏みしめる音”!
中央の大階段で丸さんの踏み出す足に玉砂利の音が重なる図が、ほんっと良すぎた…!!


あのですね、この『懐かしき音』&リプライズ、3拍子じゃないですか。
むかし演奏の曲想表現として習った言いまわしに、「ワルツは一人じゃ踊れない」っていうのがありまして…。

3拍子は、手を取って一緒に踊る誰かをイメージさせる拍子。
だからゆったりと奏でれば舞踏会のように優雅に、短調で奏でれば相手を求めるように切なく響く。
そして上のパートみたいに軽やかなテンポで明るく奏でれば、どこかあどけなく人なつっこい、ほほえましい曲調になる訳ですよと!
(阿津賀志いまつるちゃんの『きらきら』とか、葵咲本紀篭手くんの『未熟な私は夢を見る』の3拍子も近いニュアンスありますね)

 

その感じが、人の願いに寄り添い、誰かと歩調を合わせながら過ごしてきただろう丸さんにぴったりで、この曲めっちゃくちゃ好きなんです…( ∩∩)
もうここまでで大概お腹いっぱいなんですが、流石は浅井さやか先生、ここからさらに重ねてくる!!笑

 幾度 幾度願えば とどくかな とどくかな
 何度 何度祈れば かなうかな かなうかな
 一歩 一歩 重ねて一歩
 一心不乱 お百度参り

 一意専心 お百度祷歌 

任務であんなにも「いくら祈っても零れ落ちていく命」に悩み苦しんだミュ丸さんが。
それでも「届くかな、叶うかな」って願いながら、本丸に溢れる”生きている音”を慈しみながら、歩みを重ねていくんですよ…(;;)
小さな一をこつこつ積んで、やがて百に至るまで。
日々の励みを大切にする原作の丸さんと、お百度参りの精神をリンクさせてくれるような歌詞だったなと!


実はね、『懐かしき音』の歌いだし聞いた時、最初ちょっとびっくりしたんです。

 いつか見た空も いつか踏んだ道も

 ほどよく色あせてゆく …それでいい

今までの刀ミュって「覚えている、忘れない」ことが救いであり、「忘れられる」ことはとても悲しく恐ろしいものだって描き方をされてたと思うんです。
でもこの石切丸さんはその狭間、「ほどよく色あせてゆく」ことをおっとり肯定するんですよね。

みほとせ後日談としても胸がいっぱいだし(cf.物吉君と伽羅ちゃんの会話)、
「深い悲しみも、涙に暮れた夜や叫ぶ声さえも、いつか『懐かしい音』になってゆくよ。それでいいんだよ」っていう、新たな魂への柔らかいメッセージにも感じる。
時につれて遠くなる、それでも失われる訳ではない記憶の優しさを歌う石切丸さん。
心に沁みるようなお話で、歌でした…。


あとは箇条書きでこぼれ話。

●お百度の輪に加わる前の、逆の方向を見てるシンと静かなたたずまいの丸さん、何を見てたんでしょうね…。
毎回お百度組の小芝居見ちゃってて全然気づかなかった。
畑仕事してる伽羅ちゃんと、吾兵の思い出…?
パッと振り向いて、両袖持ちあげてぽくぽく歩く姿とのギャップがえぐいよ…!

 

●鶴「じゃあ勝負はおあずけだな!」
ほらーーーーいつものやつーーーーー!白黒つけなくていいミュ本丸!鶴さんそういう仕込みするんだから…!!

 

ツイッターで「あれ? 石切劔箭神社に玉砂利あったっけ?」って話が出た途端、まさかの神社公式さんが「ございます(・v・)」って写真のっけて下さったの嬉しかったですw
審神者に優しいいしきりさん…。

 

●丸さんの「壁にぶつかったとき、人は神に頼ることもある」に小狐さんがニッコリ笑って頷くときの、そっか彼もまさしく神頼みの刀なんだっけ、とか!
玉砂利を踏みしめる音に「ああ、懐かしいですねぇ!」ってやっぱり嬉しそうにするのとか!
お社の刀感マシマシの小狐さんごちそうさまでした!!
普通にどこかのお稲荷さんの玉砂利の話でもいいんですけど、石切神社所蔵の小狐丸が聞いた音もちょこっと含まれてたりしたら嬉しいですね…。

 

●神様といえば、杵くんがお地蔵さんをお百度石に使ってしまったことに対する
陸「こりゃあバチがあたるぜよ!;」
石「でも、見てごらん。このお地蔵さん、笑っているよ」
のくだり。
一応仏教の像であるお地蔵さんを、神道の石切丸が促したお百度参りに使って大丈夫か!?笑 とか、いやでも意味が無ければ刀ミュはこういうことしないと思うんだ…という話は一端後に回しまして!

「強引かよ!?」って言われてた「笑っているよ」に関しては笑、”子供と遊びたがるお地蔵さん”のお話を浅井先生がご存知だったんじゃないかなーってちょっと思ったんですよね。
ざっくり要約すると
「子供がお地蔵さんを転がすだの小便をかけるだのしながら遊んでいたので、通りがかった大人がなんて罰当たりなことを!と叱りつけて、子供が来られない場所にきちんとお祀りした。
するとその大人の体調が急に悪くなり、夢枕に立ったお地蔵さんに『せっかく子供たちと楽しく遊んでいたのに何をするんだ。元に戻してくれ』と怒られた」
っていう民話。全国にある、テンプレート的なお話なんですよ。

(福島) http://hukumusume.com/douwa/pc/minwa/08/28.htm
(長崎) https://www.ehonnavi.net/ehon00_opinion.asp?no=14674
(愛知) http://www.net-plaza.org/KANKO/toyohashi/taiboku/choraku-hinoki/densetsu.html
(東京) https://marukokawa.exblog.jp/5939070/

地獄からの救い手であり、子供の守り手の性格も持つお地蔵さん。
少なくとも民間信仰では、人の子に寄り添って戯れるのが好きな、慈愛の菩薩さま。
あの本丸の子たちが自分の周りをくるくる回りながらする願い事も、たぶん笑顔で見守ってくれてたんでしょう。
(そして男士達は、よくよくお礼を言って元の場所にお帰ししたでしょう笑)

これから産声を上げる男士に幸いがあるように、という意味合いも兼ねてお地蔵さんが登場したんだと良いなあと、勝手に妄想した一コマでした*´`

 

 

根兵糖合戦

(脚本:畑雅文)


 よのなかは ゆめかうつつか うつつとも ゆめともしらず ありてなければ
古今集:世の中というものは、いったい夢だろうか、現実なのだろうか。現実とも夢とも分からない。あってないようなものなのだから/作者不明/巻18 942)


\ドドドドドン!/
陣太鼓の音で始まるのかっこいいね~~~ 勇ましく鍛錬してる蜻蛉さんめっちゃ決まってる…!!

…って思った時には、まさかこの空気が開始1分も持たず、刀ミュ始まって以来のギャグ&カオス全振り小話になるとは思いもしませんでしたよ!!w
ミュ蜻蛉さん、実は中の方がすごいお笑い好きみたいで、そういうところもコメディ仕掛けやすかったのかもですねえ。

隊長権限で持ってる根兵糖をあの手この手でねだられ、こんぺいとう尽くしの悪夢を見てしまう蜻蛉さん。
あくまで自然な流れを装う(装えてない)曽祢さんも、登場ドヤ顔「やあこんぺいとう☆」のにっかりさんも面白かったんですが(笑
堀川&安定の
安「うわ~ん!いいじゃないかこんぺいとうの100個や200個くらい!><」
蜻「どれだけ食う気なんだ、無いぞ!#」
からの日替わりが毎回凄くてw

「ウッ、言葉の槍が刺さった!堀川、抜いてえ~!」
「は、はい!(抜く)……あ!兼さぁ~ん!(安定にブッ刺し直して駆け足でハケる)
「ええーーーー!!???;;」

の回とかお腹よじれるかと思いましたww愛知だったかなw


イケボ審神者から「またこんぺいとうが現れました。」って言われてる時の蜻蛉さん、
当然ながら何十回とやってる流れのはずなのに、毎回ドアップ大画面で完璧な「………はぇ…?(゚д゚ )」を披露して下さってて凄かったですね!笑

あんなに「ど、どうしよう、俺は何したらいいんだ、何かそれっぽいことしなければ」って感じでおろおろ戦場にいる蜻蛉さんあらゆるメディアミックス媒体で初めて見たし、
堀川君の「疲労こんぺいとうですね…」の使い勝手が良すぎるの勘弁してほしい。
あんまり常用してると職場で口走っちゃいそうですよ疲労こんぺいとう。

 

あとこんぺいとうの筋をやってしまった巴さん、蜻蛉さんに「今すぐこんぺいとうに戻ってこんぺいとうしよう!」って言われた時の辛そうな顔が上手すぎてww
「ちょっと!! それはいくらなんでも酷すぎますよ!!#」って堀川君が食ってかかるくらいだから、「(もう役立たずだから)今すぐ本丸に戻って刀解しよう!!」くらいの聞こえ方したんですかねw
皆さんの演技力のステ値が追い打ちをかけてくる。

悪夢が覚めた後の、どう見ても様子がおかしい蜻蛉さんに対する
「僕らがあんまりこんぺいとうを欲しがったから怒ってるんじゃ…!?」「Σおれも欲しがったぞ」「ぼくもだ!」「俺もだ!」
の息ぴったりのウェーブといい、豊かな表現力に裏打ちされたフルスイング・カオス、まじで手に負えませんね!!?(*とても褒めてる)


からの~~~刀ミュ史に残るエクストリーム・ナンダコレ・ソング、『CONFEITO』!
後から気づいたんですけど、この編成の6人の俳優さん全員、自分名義のCD出してるアーティストさんでしたね…。
ギャグだからこそ、実力ガチであればあるほど面白くなるやつですけども!!カードの切り方の思い切りが良すぎる!!笑

特にいつか見たいと思ってた堀川くん&蜻蛉さんのハモリを、このパターンで見ることになろうとは。
見るからに勇ましい筋骨隆々の偉丈夫が上ハモで、その体の影にすっぽり隠れちゃうような美少年が下パート歌ってるんですよ…視覚と聴覚がバグりますね…。

あとラスラビ前の歌詞、

 いざ交わる瞬間 桜が咲き 刃が唸る

\特ついてんじゃねーか!!/
ってフォロワーさんのツッコミにむせるほど笑かされました。
どれだけ食ったんだ根兵糖!!!!!!!
(根兵糖1個で500経験値、特25の男士だったら必要経験値56,800で、ほんとに100個以上食べなきゃいけない計算ですね…)(伏線回収すな)

 


(※この先一瞬プラスでない感想が出るので、ひっかかりそうだな…って方は小さい字の部分飛ばしてください;´人`)

 

実はですね。
このお話、初めて刀ミュで「あっ、Not for meだ」ってはっきり思ったシナリオだったんですよ。
理由は単純、今までの刀ミュで個人的に好みだなーと思ってた
 ・キャラを使って舞台舞台した笑い(連発怒鳴りツッコミ、振り回される真面目くんetc...)をもぎ取りにこない
 ・誰かが批難されたり気まずい思いをする姿をギャグにしない
みたいな部分の逆を、思いっきり前面に出した脚本だったので…。
https://twitter.com/taka_koro/status/952526178794917890

ただ、今までにないモノが出たってことは、要するに味付けの幅が広がった訳ですよね。
私の口はびっくりしたけど、逆にめちゃくちゃ楽しかった!今までで一番笑った~!!って方も絶対いると思うんです。
むしろこういう前のめりなエネルギーこそ芝居の面白さだ!!って考え方もあるからこそ、”舞台舞台した笑い”になってるんだと思いますし。

ぶっとんだ悪夢だって設定や、起きた後の蜻蛉さんへの反応が\エッ何あいつ…ドン引き…/じゃなく「「「らしくない!!根兵糖のねだりすぎを怒ってるのかも!?」」」なあたりも、ちゃんとフォロー入ってる。
一口目でおっと…?って引っかかりはしたけど、満を持した精鋭男士のエンタメパワーで気が付いたら完食してたよ。場面場面は間違いなく面白かったんですよ!!笑


Not for meだからこそ却って、安牌に甘んじず新しいところに行く・やるからには半端なものは作らん!!っていう姿勢を強く感じた一幕でした。
 

 

mistake 

(初演・阿津賀志山異聞)


開幕ミステイクはずるくない!!!!?????


って初回メモにでっかく書いてありました!!笑
そんな、大富豪の1ターン目でジョーカー出しちゃうみたいなさあ…!!

なんていうか、いよいよ三条feat.清光っていう「レジェンドチームの代表曲」から、「本丸全体の通過儀礼」になってきたみたいな…。
貴方も我が本丸の男士ならmistake犯せるでしょう?みたいな。

ファンの思い入れも深く、出せばゴリゴリに盛り上がるのが確定してる曲を、惜しみなくポーン!と1曲目に出せちゃうの熱すぎましたね。
鶴丸役の岡宮君が、雑誌*1「『mistake』を自分も歌える日が来たんだ!って思ったら感動しちゃって」って話されてたのがすごく印象的でした。

兼さん役の有澤くんがラジオで言ってた「mistakeの開幕ポップアップがむっちゃんって決まったときに稽古場で歓声と拍手が起こった」って話といい、この曲に纏わるエピソードは沁みますね…。
そしてやっぱり要所要所で三条見ちゃう。センステで踊る彼らを今年も見られてほんとに嬉しかった。

伽羅ちゃんの「君は蜃気楼」の声が際立って重たいの最高だったし、兼さんが「きみ↑となら~!」の高音を思い切りよく当てに行ったの超かっこよかった。
冒頭の目伏せる杵くん美しすぎるとか、「戻せない時計の針の向こうへ」の指クルクルする物吉くん最高とか、伽羅ちゃんのめっちゃ良く鳴る金管楽器みたいな「この夜が明けるまで!!」とか、もう全モーメントが決め所でしたね…。

兼さんとか物吉君とかむっちゃんとか、登場時にはよいしょよいしょって先輩についていくポジションだった男士の役者さんが、別の作品で主役経験して”主演級・座長級”として貫禄のパフォーマンス持って帰ってきてくれるのも幸せすぎました。
どんどん層が厚くなっていくミュ本丸を、2部曲筆頭の『mistake』で感じられる。
最高の開幕でした…。

 


~MC~
今年は1回こっきりのMCパート、「主~!」って呼びかける第一声鶴丸!!
「なっ、伽羅ぼ」「慣れ合うつもりはない」
肩組まれそうになった腕を見事によける、馴れ合いキャンセラー完璧な伊達組の間合いすごかったですねww

 

「俺は刺すしかできないんだって!;」って焦る杵くんに「オイオイ刺すことしかできねえだァ?」って絡む兼さんがしっくりきすぎて笑ってしまったし、小狐さんの「期待していますよ、おてぎねぇ~~!^^」のあっけらかんとした声が、アッこの御刃も確かに自由人三条の一角だ!って感じで可愛くてもうw
明石の「早ぅ肚決めた方が楽になるでぇ…?」ってそそのかしがエデンの蛇っぽくてたまら~ん!と思ってたら、説得力に満ちた伽羅ちゃんの頷きがカメラに抜かれるあの間も笑った。
伽羅ちゃん苦労してるんだねえ…しってる…がんばれ…。

御手杵のコーレスも毎会場大好きでした。
特に北海道公演の 杵「どんどんどん!」 審\海鮮丼!/ は訳わからなくてしぬほど楽しかったw
\どすこ~い!/とか\しるこくれ~!/とか、なんなの刀ミュはそんなに審神者たちをはらぺこマンにしたいの。
つられて海鮮丼食べちゃったよ。美味しかったです北海道。

 

Impluse 

(再演・三百年の子守唄)

私の中の『歌合』、ひとつの頂点です。
千秋楽配信を聴いたとき、酸欠でしぬかと思いました。
生でなく回線越しの歌声で、腰が抜けて歩けなくなったの生まれて初めてだったよ…。

千秋楽ver.を聴いたときの反応がこちらで

既に思い入れを語りまくってしまった分がこちらになります。


簡潔に言うと
「カンパニー筆頭の歌唱力を売りにした村正派デュエットを、いくらポテンシャル高いとはいえ新刃男士にふるなんて鬼か!?悪魔か!!と思った」
「けどその困難もプレッシャーも全部背負って『蜻蛉切鶴丸のImpulse』を作り上げて下さった、その技術と気概に心をガックガクに揺さぶられた」
という話です。

 

もうこの曲どうにもこうにも、いわゆる巨大感情というやつを持て余してしょうがないので、
歌詞の全フレーズの表現について感想を書く
っていう訳の分からないことをします。
(©『Impulse』 作詞:Kenji Kabashima)
(*この全歌詞引用をやりたいがために、今回はprivatterでなく、JASRACと歌詞掲載包括契約済のはてブロで投稿しました…笑
いや厳密に言うなら、今までツイッターやベッターに載せてた分はどうなんという話にはなってしまうんですが。
この程度の部分引用ならまあ…そこまでガチガチに運用する人も滅多におらんし…という範囲を、今回は流石に逸脱してしまうよなと思ったので、こういう形を取ってます。
包括契約・歌詞の引用の著作権についてはこちら参照。https://www.jasrac.or.jp/info/network/ugc.html https://www.bengo4.com/c_23/n_244/

マジでフルフレーズ書いてるので、飽きたら★印で囲まれてる分スルーして下さい!!笑

 

★★★

 

これから語るすべて
遮るものすべて
すべて……

ふわーっと広がる澄んだ音のイントロからの、タンッ!と鋭く響くスネア。
この削ぎ落した入りが、何度聞いても絶妙…!!
優雅にターンしながら現れた蜻蛉さんが、透明感たっぷりの高音で二振ぶんのパートを歌い上げます。
千秋楽、のっけでぶちこんできた「すーべぇ↑てーーーーー…」のアレンジが力こもっててすごく良かった!!
最初見たときは蜻蛉さんに目が吸い寄せられて、エッッこの曲をソロで歌うの?まさか村正サプライズ登場とかないよね?え?まじ??っておろおろしてたんですが…

「「That's all I have!」」

ここで\!!!!????/ですよ。
鶴さん!!?鶴さんと歌うの!?これを!!??エエエエーーーーーー!!???って。
驚いたか?(`・∀・) じゃないわ心臓止まるかと思ったわ!!!!!!
配信カメラで抜かれた片頬でニッと笑う表情、見るたび村正じゃん…!!リスペクトじゃん!!!ってなってしまってほんとにむりです。

あと次に抜かれる蜻蛉さんの右手が、ダンスの時ちょっとひっかかるみたいに震えるんですよね…。
ミスというほどにはならない、それでも蜻蛉さんらしからぬ小さな綻び。
一体どんな想いであの舞台を踏んでらしたんでしょうか…。

 

まるで 見てきたかのように
こころは 歩みを止めてる

ここね、文字で表現するのが難しいんですが、
「こ、こぉろは あ-ゆぅ、みぃを とぉンめ て↗る↘ぅ↗」
みたいな、村正の歌唱の細っっかいニュアンスまで寄ってて毎度ウワーーーーってなったんですよ…( ∩∩)
たったワンフレーズで、元祖のバージョンを大切に細かく聴きこんでることが分かる。
ここに限らず、ステージ上にいるのは二振なのに、終始その場にいない村正の存在を痛いほど感じる歌唱でした。

知りもしない世界から 
手を差し伸べられてる

ここの歌い方はほぼ原曲通り。
でも、差し伸べられた手を追いかけるようなどこか心細そうな表情が、村正派ver.の地に足の着いた歌いぶりとの差でギュウっとなる…。

感じたことないような
不安と衝動にかられながら 夢を見てた

ここで一気に、鶴さん自身の歌唱・発声に変わる!!
"じ"の高音はまだ苦手だけれど、「かられなぁ~~~がら」の口を大きく開けたアの音が朗々としてて、自分の魅力を活かしにきたー!って思いました。
村正は同じロングトーンの中で一度フッと音量を落とす→ぐーっと伸び上がるように音量・音圧上げるっていうとても特徴的な歌い方をしてるので、比べると違いが際立ちます。

あの日あのとき大事そうに抱えてたのは
ただのlies

ここ!!ここがやばい!!
抱えてた、のは……で弱く呟く→(タンッ)でぐわっと豹変するときの表情が!!ライティングが!!!神!!!!!!!
そして怒りを込めて唸るような「ただのlies」!!!!!

千秋楽前の公演では、こんなに激しくなかったんですよ…!再演みほとせ千秋楽のあの音が欲しかったのに、物足りない気分でいたからよく覚えてます。
デュエットパートナーであるつるむくんへの、(飛ばしてくぞ、ついてこいよ!!)って合図に聴こえて、ウオオーーーって心が湧いてからの…!!

誰かを信じれば何かを疑う でも

この加減のない声!!!!
両者が腹の底から出せる音を出してる、バチバチの歌唱バトルがかっこいい…!!!

明日へとつながる
ことばも この手さえも

ものすごく滑らかな同音色のパス!!!!
ちゃんと「会話」が成立してる…!

やっと作りだせる 自分なりの一歩は
どんなに険しくても 前を向かす 

やっと作り"だ"せる、の蜻蛉さんのシャウトがめちゃくちゃ力入ってて凄い迫力なんですが。
かたや後半歌いつつ、ニッと笑う鶴さんの胆力がおそろしい…!
配信聴きながらのメモに「ここで笑うのかよ!!!!!!!この音を聞いてここで!!!!!!」って書いてあって、自分の爆散ぶりがまざまざ思い出されます。

(間奏)

ここのダンスかっこよかったー!
蜻蛉さん、みほとせ再演までは衣装も振付も貫禄・重々しさが重視されてたように思うんですよ。
でも歌合でのこのダンスは、葵咲本紀で一気に足元をすっきりさせて機敏さ・激しさを出してきた、あのバージョンの振付でしたよね…。
触れては離れ、その間に何度もImpulseの走るようだった村正との振り付けに対して、鶴さんとの一回きりパンッ!と弾ける遠隔ハイタッチも熱い。

もどかしくて
でも物足りなくて…

ほんの短いフレーズなのに、ここの情報量も濃い…。
「もどかしくて」で強く、朗々と、一度しっかり声を張ってから
「足りなく」で、まさしくもどかしさ、苛立ちを表すように濁らせたと思ったら、
「て…」は途方にくれて、分からない、足りない、どうしたらいいんだ…って途方に暮れたような茫洋とした声を出す。
それを受けての…

またさがして いるんだ

"た"の高音当てるの難しいでしょうに、領分外の音域でも獲りに行く鶴さんがかっこいい!
そして「いるんだ」のほんっとに一瞬のソフトビブラートが良い……。
村正はもっと握りしめるように芯強く歌ってキンッ!て納刀するかのように切り上げてたのに対して、鶴さんは肌に触れた牡丹雪が儚く溶けるみたいにふわっとミュートかけるんですよ。
対比が最高。
テンション持続したままだったら胸に落として歌い上げたくなるだろうラストを、口蓋にフワッとまとめて、でも全く硬い音にならない完璧な塩梅。
あれだけ先輩へのリスペクトを公言して、真似ようと思えば真似られる姿も見せながら、先輩と全然違う歌い方を選ぶつるむくんの器が底知れない。

タンッ!で雪みたいなモニター背景に俯く、伏せたまつげの美しさが真剣必殺級ですし なんだもうやばい。

 

誰かを信じれば

ここは蜻蛉さんにはめずらしい「…dぁれかをしんじれば」みたいな曖昧な入り方でしたね。
誰かを信じたことで、疑い傷つくやるせなさが胸に迫る。
泣きそうな声、脱力した腕…。勿論作ってる声ですが、表現の豊かさにドキッとさせられます。

なにかを疑う でも…

そして鶴さんも切なげな顔で受ける。
高音の強すぎず弱すぎない絶妙な柔らかさが「分かるよ」って傍らにそっと寄り添うようで…10も年上の先輩とのデュエットで、よくこんな声を…。

 

明日へとつながる

ことばもこの手さえも

蜻蛉さんの「つぅな」に一瞬混じる高音ファルセットは、村正がスピード感出していくときの十八番の歌い方。
ギターのフレットを押さえる左手の指がキュコッ!て擦れる、あの感じなんですよね。
そして鶴さんが「さえも」をグッと力強く唸る!

やっとつくりだせる 自分なりの一歩は
どんなに険しくても 前を向かす

噛みつくような強い声を出しながら挑むように鶴さんを睨む蜻蛉さんに、負けじとワイルドにがなる鶴さん。
二振で呼応しながらボルテージをぐわーーっとあげた上で…!!

立ち止まりかけても 悔しがり続けても
貫くときがくる

もうここからは一気呵成!!!!!!!
蜻蛉さんのシャウトが熱すぎる上に、「来る」に今までやってなかったトリルが入ってる…!
「歌唱力プロレス」こと向かい合って声をぶつけあう村正派のやばい歌い方、再現して盛り上げるって選択肢も絶対あったと思うんですけど、それをやらないでくれた演出ありがとう…!!!!!!
外側だけ真似たって意味がないんだよ、そういうことじゃねえんだよ、って言ってくれてるようで胸いっぱいでした…。

 

朽ちかけのプライドじゃなく

スピード感MAXのクライマックス、ここで感情のダム決壊ですよ。
「プライド」のプ、最後の、最高の、村正の真骨頂だった1音だけがちゃんと出ないんですよね…!!(;;)

(7/24追記:円盤確認したところ、修正が入ってちゃんと綺麗な音になってました。ここで言及してるのはDMMアーカイブ配信ver.で見られるものということでお願いします)

もしかしたら出せた公演もあったのかもしれない。
ただ少なくとも私の観劇した公演では、北海道、さいたま、愛知、千秋楽、ぜんぶ音割っちゃってるんですよ。

これねーーー、ここまでに輪をかけて勝手な妄想だと思って頂きたいんですが(強調)
ただ正確な音を出すだけなら、つるむくんは出せたと思うんです。
音符で言うなら”真ん中のラ”、葵咲本紀の2部ソロ曲の中にも含まれてる音程なので…。
前後含めて歌い方調節して、ファルセット使って美しく歌い上げる安全運転も多分できた。
それでも、太田さんの村正が鳴らして魅せた鋭いハイトーンがこのライブパフォーマンスには欠かせないって判断したから、敢えてフルアクセルのミックスボイス狙って突っ込んだと思うんですよね。

私はこれを「不出来なものを出された」とは感じません。

想像上の”正しい音をしっかり置きに行った歌唱”よりも、”いちかばちか渾身の音で挑んでギリギリ届かなかった歌唱”の方が、残酷ですがカバー曲のコンテクストとして断然魅力的なので…。
よりにもよって「プライド」の最高到達点だけが出ないって、もう、もう、本当に物語のよう。
出したかっただろうなあ、悔しいだろうなぁ、こんなに上手くても21歳の喉なんだよな…ってなってしまって、忘れられそうにないワンフレーズです。

僕にできる可能性という新たな道は
どんなに険しくても 明日をつくる

唸り声も最高潮にして絶好調の蜻蛉さんに、「どぉんなに」の美しさと「わ」のインパクトが大正解の鶴さん。
このタイミングで鶴さんに”どんなに険しくても 明日をつくる”を歌わせる歌詞振りが響きすぎる。

これから進むすべて
遮るもの すべて
すべて
すべて…

父のように強い目と優しい笑顔で「見ているからな」って手振りするすぴんぼさんと、一瞬眉を下げた笑顔になってきゅっと目を細めるつるむくん。
言葉がないです。
計算して出せるものではない、ほんの瞬く間の感情の交錯。
茅野さんの言葉を借りるなら「演劇は見るものでなく目撃するもの」を肌身に覚えて、鳥肌が止まらなかったです。


「「That's all I haーーー→ーー↑ve」」

そしてこれまで村正ファミリーの専売特許だった、滑らかに音程を上げるユニゾンをぴったり揃えたフィニッシュ。完璧。
・あのサイズの会場で
・ふわっとソフトな音色で
・目を合わせられない立ち位置で
・音量音圧も本公演以上に間を持たせて上げながら
っていう地味に厄介な部分も、もはや意識もさせないくらい危なげなくクリアしてくる安定感ですよ…。

技術がただ高いだけでも、ただ息が合ってるだけでもできない。
技と心の揃ったときにだけ魅せて貰える花を、最後の0.01秒まで堪能しました…。

 

やー…心情的には、もうこの曲でスタンディングオベーションです。凄まじい『歌合』を見てしまった……。
去年の小狐丸のVersus(祭)に続いて、Impulse(歌)として、心の殿堂入りになりました。

はーー、大変な分量になりましたが文章にしてすっきりした!!この後の歌は平常運転です!!笑

 

★★★

 

Stay with me

(再演・三百年の子守唄)

村正に代わって巴さんセンター!
もう持ち歌のような違和感ゼロっぷりでしたねw 凄い。
わざわざ一瞬だけコートで登場してすぐ脱いでくれるみほとせオマージュ演出、超嬉しかったですありがとうございます!!

センステ丸さんはターンも帝王座りも完璧に美しいし、いまつるちゃんの \ブレイキナーーー↑ウ!/ は可愛すぎるし、「この距離を 壊すのは なにげない台詞じゃーなァーい!」でギュイーン!!ってエレキギターみたいな音色鳴らす小狐さんはイケ狐にもほどがあったよ…!!
歌唱力モンスター蜻蛉さんのパートに、衝力マシマシの小狐さんが入る采配は熱すぎる!!!
あの本丸の三条も、大概エンタメの鬼になりつつありますね…。

「迷宮入りのFantasy...」で、ほんの少し乱れた髪が目元にかかる流し目丸さんとか、なにそれヘアメイクさんにやってもらいました…?ってびびりましたもん。美の女神が微笑んでペンラ振ってる。

 

あと美といえば蜂須賀ー!
「ずっと足りなぁい きっと満たされなぁ~~~い」の声色良かったー!!
しっかり硬口蓋に響いて鳴ってましたね、出してて気持ちよかっただろうなぁ…!
本公演では青江がエスコートされてた場面、

 青江:ワオ☆ってほっぺに手当てるコケティッシュな仕草
 蜂須賀:にっこり微笑んでさしのべた手を取らせる

っていうこの!このエレガンスの出し方ずるい!
…と思った矢先にあのあっかんべーですよ。
もうほんとミュ蜂須賀、主を喜ばせるのが大好きな、愛されいたずら個体っぷりが年々磨かれていく…。たいへんなことだ…。

 

あと去年に引き続き距離感おかしい巴さんと丸さん事件ねw 艶っぽいのに可愛いナンデ!!
バリエーション出しながらあの画面作るのが楽しそうだったからですかね…特に巴さんが…。
素のふわふわのんびり/儀式のときの清廉な品格/2部ライブのキレッキレの色香、ミュ本丸の祭礼刀3段活用かんべんしてください。
ここの絡みがもっと見たいです審神者P…。

あとチームに安定がいると、ハケまで小ネタたっぷりになるのも定番になってきましたねw
「主と、Stay with me♡」\\きゃぁん♡//じゃないんだわ!可愛いこんにゃろう!笑

 

にっかり青江篝火講談

(脚本:赤澤ムック )


なつむしの みをいたづらに なすことも ひとつおもひに よりてなりけり
古今集:夏虫が火に飛び込んで死ぬことも、私があなたへの思いで身をほろぼすのも、同じ思いの火によるものなのです/作者不明/巻11 544)


ライブナンバーで盛り上がった場に、シン…と冷えた風が吹きこむような場面の転換。
雨月物語の『菊花の約』を怪談×講談調の一人芝居で語るっていう、この歌合でも異色のパートでしたね。

…だって僕は、君につよく握られたり、撫でられたりはしても、結果、斬ることしかできない。
鍔競りの痛み、押し込む圧、刃毀れさせる興奮はあっても、交わるとはどういう感触なのか、知ることができないからね。

原作の冒頭を引用してから「交わり」を語る、このにっかり節パートたまらない!!
ここまで情緒的かつセンシュアル……ある種耽美な台詞って、御笠ノ先生の筆からはたぶん生まれないものだと思うんですよ。
メッチャ乱暴に言うなら、通常運転の刀ミュが司馬遼太郎、こっちは谷崎潤一郎
こんぺいとうとまた別口で、外部脚本を加えたからできた作品だったなぁと思います。

ていうか何かもう、あらゆるものが凄すぎた…!!


テーマ設定の絶妙さ
まず企画の時点でやばい。
恋歌と義兄弟の契り(暗に衆道関係)の物語を絡めて語るっていう、ちょっと大人な趣向のインパクトも、「まあにっかりさんだし…怪談でもあるし…」でスッと入ってしまう感じとか。
相思う二人の信義の話でありつつ、霊魂の千里行、武士としての忠義、親子の情、重陽節句九月九日九十九話目までの百物語……
原作のエッセンスと、ミュ本丸のにっかり青江のマッチングに圧倒されたりとか!

しかも出身の備中国や元主・京極家の係累にもゆかり深い、尼子家・塩冶家の絡む話ですしね…。 
これもまた、何をどこまで計算して決めたの案件ですよ。こわい。
 
ビジュアル得点の高さ
青白い人魂を背後に遊ばせながら歌う青江、まじで反則の映像でしたよね!!?
形式としては一人芝居ですが、(人魂に限らず)音響照明映像が半ば助演のように寄り添って、講談師としてのにっかりさん、立ち現れる黒い影、夜空を渡る風…各所の表現を深くしてくれてた。
天井いっぱいに咲く白菊の輪舞、くらくらするほど美しかったなあ…。

 

にっかり荒江さんの空間支配力
何よりこれね!!!!!
いやもう、正直アイディアの時点で正気の沙汰ではない
ただでさえお芝居は大変だって言ってたアリーナクラスの会場で、ほとんどの時間は上半身のみの演技で、まさかの1万人vs1人ですよ。忠勝単騎駆けですかよ。
いくらキャラクターや過去公演の力もあるとはいえ…。
本職の講談師の方だってそうそうやりたくないだろう状況で、空気を散らすことなく自分の語りに惹きこんでみせたあの技量と度胸。
「ばけものだ…!!」って思いました、ストレートに。

 

特に人魂とのくだりが好きで好きで…。
「…おやおや、おでましだねえ」から現れた人魂達って、劇中の言葉を借りるなら”幼いほど純粋な欲望”が形を成した炎なんですよね。
もはや妄想なんですけど「綺麗な景色だよ…」はまるで人魂を手懐ける言霊みたいだと思ったし、「単純で、幼く、愚かで…!!」とともに打ち付ける張扇は、暴れださないように躾ける鞭みたいだった。
千秋楽では「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ」ってうっそりした声色でしたが、印でも切るように「ひ!ふ!み!よ!」って数えてたバージョンも、めちゃくちゃかっこよくて好きでした…。

肝心の講談もすごかった。
これで全体を本格的な講談に寄せてきてたら、またちょっと印象も違ったと思うんですが。

-義兄の宗右衛門は、まさに講談、神田松之丞さんあたりを思わせるざらついた声と重めの芝居。
-義弟の左門はすこし若々しく、自然な青年の語り口。
-そしてにっかり青江独演パートは、キャラクター性全開でひんやり・しっとり・ねっとりした喋り方。 

結果として、講談をリスペクトしつつも”講談そのもの”にはならない、「にっかり青江による講談調の一人芝居」になってたと思うんです。
「魂ならば、千里の道をも越えられる…!!」の凄絶な表情から、スゥッとにっかりの顔になるところは息を呑みました…。
あれを真正面ドアップで抜く→「約束を果たしきたんだ。自害をして、風に乗ってね…」で天上を仰ぐカメラの切り替えも、ライティングの変化も完璧。拍手。

 


『菊花輪舞』大好きだ…!!!!!!
今までにっかりさんの高音といえば、もっとカンと張った硬質な印象だったんですよ。叩いたらぱりんと割れる琥珀糖みたいな。
でも今回は、まるでバイオリン独奏みたいな柔らかく澄んだ音で…。
あくまでモノの視点から「僕は交わる心地を知ることができない」って語る声と裏腹、透き通った血が肌の下にうっすら透けるような奏で方に聞こえたんです。
奇しくも”心金の透ける青江刀の澄肌”ともイメージがリンクしたりして、ゾクゾクが止まらなかった。

しかもこの曲も3拍子。
青江ファンとしては、思い出すのは本丸の近侍曲ですよね…!!
『懐かしき音』の項でも語りましたが「ワルツは一人じゃ踊れない」。(輪舞のベーシックな和訳はロンドですが…笑)
こういう風に叙情的に綴ると、義兄弟が思い合う心の切なさ⇔女幽霊に添う青江の危うさ美しさ、ストーリーの要素が響き合って引き立って、もう、もう…。
青江のアリアとでも呼びたいような、キャラクター表現の詰まった曲に仕上がってたなと思いました。

 

…そんな青江色に染まった世界から、「お名残惜しゅうはございますが!」の一声でスパン!って元の空気に戻してくれるアフターケアまで完璧!笑
ミュ本丸のにっかりさん、本当にデキる大脇差ですよ…。
「うっかりしゃべりすぎた、ようだね」
の流し目がめちゃくちゃ艶っぽくて大好き、原作青江のちょっとトロンと瞼重そうな感じ出てて最高です。

歌のラスボスがすぴんぼさんなら、芝居のラスボスはにっかり荒江さん。
貫禄の一幕を堪能しました。


これは余談。
席の関係でたまたま見えたんですけどね。毎回この話が始まる前、カメラが中央通路をゴロゴロゴロ!って移動して、すごい速さでセッティングされてたんですよ。
パンフの茅野さんが「お芝居には、ある程度役者の息遣いとか目線とか、そういったものを肉眼で見て感じられる距離感というものが必要だと思っています」と仰ってましたが、
その部分を補ってくれたのが、会場を満たしてくれた音響であり、照明効果であり、計算された構図で役者さんが映し出されるライブカメラでしたよね。

再度になりますが、広大な会場での一人芝居を成立させるための、各セクションのフルサポートに心から敬意を表します…。
素晴らしい小編を有難うございました。

 

 

梅 the way

(脚本:川尻恵太)


うめのはな おりてかざせる もろひとは けふのあひだは たのしくあるべし
万葉集梅の花を折って髪に挿している人々は、今日のあいだは楽しいことでしょう/神司荒氏稲布/巻5 832)


のどかな春の日にざぶとんを見つけた明石が「戯れにしゃべくりでも~」と語りだす、にっかり講談と対になるような落語調の小話。
…なんですが、その内容は

「主の大切な梅の枝を折ってしまった今剣と小狐丸。動揺した二振は明石の口車に乗せられるまま、木があったという事実を丸ごとなかったことにするために、鋸で切り倒してしまう。
 しかし実は、最初に枝を折ってしまったのは明石自身。それをごまかすために、小狐丸と今剣をまんまと利用したのでした。
 ──ま、ぜんぶ作り話なんですけどね★」

という、ちょっとスパイスの効いたお話でした。
こちらは元ネタの無い創作噺だと思われます。

 

これもまた刀ミュには珍しく、男士の行動でヒヤヒヤ・ハラハラさせる類のストーリー。
そのまま受け取るにはちょっと明石がアレなので(笑
「梅の木は歴史の暗喩で、枝を折る=改変された歴史を剪定すること。
 では、『バランス悪うなってしまいましたなぁ』と次々に枝を折り、折らせ、最後には『こんな梅の木はなかった』でどないです、と唆す明石の真意は…?」
なんて読み方も出てましたね。


個人的には本当に、読みたいように読んでいい話だと思います。
いつもの刀ミュみたいに「つまり何が言いたいのか」を明示する台詞もないし、「ココが堀りどころだよ~」ってアピールするキーワードも、多分提示されてない。
(途中の公演までいまつるちゃんが「歴史の修正を阻止する僕たちが、こんなことしていいんでしょうか…?」みたいなこと言ってたって話もありますが、「敢えて削ったなら削った意義を尊重する」主義なので、一旦知らんぷりということで!笑)

和歌とも合わせて、明るさや深さを何通りにも読み解くことができる。
彼の本心=真実がどこにあるかは掴めない、が公式設定の明石っぽいお話だなあと…(笑
脚本の川尻先生も「皆様なりの解釈で楽しんでいただければ」とツイートされてましたしね。


ちなみに歴史修正云々以外で私自身の受け取ったのは、一言で言って「これも心やん?」でした。
神遊びで『本性、欲望』っていう、ミュ本丸の良い子たちから出てくるにはぎょっとするような、強い言葉で綴られてた部分。

明石も言ってましたが、本来の落語でも”ちょっとした失敗・見栄・出来心を何とか取り繕おうとして、どんどん事態がえらいこっちゃになっていく”っていうお話はド定番。
なぜかっていえば、それって誰しも少しは身に覚えのあるような、とても身近な心の動きだからだと思うんですね。
大げさな滑稽譚として笑わせつつ、そういう腹の中の薄暗い部分をコショッとくすぐって来るのも落語の醍醐味だよねと。

 

ひるがえって今回のお話。
直前の短編を担当した青江は、約束ひとつ守るために命をも擲つ交わりを「羨ましくもある」と語った。
いまつるちゃんも小狐さんも。本来は正直で誠実で、自分の失敗を主にちゃんと告白できるタイプ。
いやぁ素晴らしいこっちゃ。

By the way(それはそれとして)、誰でもうっかりすることあるし、つい保身を考えるし、ずるい気持ちが湧いたり、悪魔のささやきに丸め込まれてまうこともありますやん?
そうそうお綺麗に、完璧に行かへんモノちゃいますのん。それが取返しつかんとこまで行ってしまうことも、まぁありますやろ。
…みたいな形で”心”の在り方に触れたお話だったのかなぁ、みたいな。
葵咲本紀で篭手切&御手杵相手に「真面目すぎは疲れますやろ、失敗は失敗や。まあ気楽にやりましょ」って失態をアッサリ肯定・許容することで空気をほどいて見せた、あの明石のイメージ補正も入ってると思いますが…(笑
(♪そりゃありますやろ誰にでも、秘密の一つや二つ、三つや四つ、五つや六つ、七つや”八つ”…)

仮に梅を歴史になぞらえると、「なぁに自分は誰にも言いまへん。善意でやったことや、咎められることあらしまへん。大丈夫、ええんやで」って丸め込まれてく様は恐ろしくもありますが。
By the way(それはおいといて)梅は綺麗やし。まぁさしあたり今日のところは、みなさんと楽しくやっときましょか。今日は、ね。
っていう、ちょっとアイロニカルな胎教を新男士に施す明石先輩(仮)…。


そんなこんなで審神者心をさんざん乱したあとで、
「…とまぁ、こういうタネがあった訳ですな(梅だけに)」
「ほんとは誰かと話に花を咲かせるのが一番なんですけどねぇ」
っていうオチで、ちゃんと綺麗にまとめるちゃっかり感まで\こんにゃろ!!/って感じの明石国行でした(笑

ばいざうぇい、内番姿で仲間に挨拶するときもいつもの優雅なお辞儀のいまつるちゃん最高でしたね!!?
ミュ三条のーーこういうところがーーーだいすきだーーーーー!!!


余談。
ちなみにこの話を初めて見たとき、なんとなく連想したのが「頭山」っていう落語でした。
ケチな男がさくらんぼを種ごと食べたら頭から桜が生えちゃった。
花見客がうるさくてしょうがないから引っこ抜いたら池ができちゃった。
ボウフラが湧いて魚が来て釣り船が出て、もうどうにもこうにもノイローゼになってしまって、ついには自分の頭の池に身を投げてしまったとさ!
っていう、ちょっとブラックなナンセンスオチのやつ。
別に関西弁=お笑いっていう安直な話ではなく(笑)、落語のこういうところと明石、言われてみれば相性良いですよねえ…。
http://rakugoarasuji.jugem.jp/?eid=10

 

Brand new sky

(結びの響、始まりの音)

 

(」;□;)」<聞きたかったーーーうれしかったーーーーー!!!!!
去年のSecret Signに続くの、てっきりこれだと思ってたから!!
Heart to Heartも嬉しかったけど、もう一回むすはじメンバーで聞けたらどんなに素敵だろうと…!!うわーん!!

「大切な仲間ができた!」でいちれつに並ばないでください!
うそ、もっとやってください!!なかよしむすはじ!!

「大切なことは信じること」のところの兼さんの表情の作り方めっちゃ好きです…。
「信じる」の一瞬で(>_<)ってお顔になりながら信じる!って身振りするの可愛すぎる。
ほんとにこの曲、歌ってるむすはじ組も楽しそうだし曲調もパワフルで明るいしダンスは元気良いし、問答無用で笑顔になってしまう。
まっさおな空にむかってウーン!って伸びするみたいな気持ち良い曲ですよね。

しかし間奏、フラッグまではまだ分かるとして、巴さんのリボン is 何!!?w
どう考えても必然性の無いぶっとび演出なんですけど、ご本刃めちゃめちゃ笑顔だし普通に見とれるし、なんかもう楽しいから花丸です!!ってなるからパフォーマンスの力すごい。
こんぺいとうの出席率といいこれといい、クオリティで \押し通ーーーーす!!/ してくるむすはじ組のポテンシャルよ…。

未来の希望に満ちた歌を、第二章開幕を控えたこの時期に聞けたのも最高でした。
いやー楽しかった…。

 

Nameless Fighter


(初演・三百年の子守唄)

 

2017年乱舞祭に引き続き、まさかの2度目!!
年末ライブで同曲デュエットを同じ男士でやったの、前例ないですよね!?

この曲の冒頭、ちょっと早口言葉みたいで歌うの難しそうだなと思うんですが、今年のにっかりさんの歌い方がめちゃくちゃ好みで…。
「クールダウン」の、淡々としてるようで何か秘めるものがある感じすごい好き。

そして伽羅ちゃん!!
朗々とした奏で方、サビの高音で使われるファルセット、ちょっと癖のあるダンスを決めるための体の使い方、しっかり手綱とっててかっこよかったー!!
しっかり振り付けも初演ver.踏襲してる中で、 Breaking down! だけキックからパンチになってたのが印象的でした。
手首が細いのにかよわい感じは一切ない、研ぎ澄ましたような牧伽羅ちゃんの腕と拳良いよねえ…。

 

そしてね、『Impulse』『Nameless Fighter』でうっすら感じて、後の『獣』で確信に変わったんですが。
今年の歌合の大きなチャレンジとして、意図的に「聖域」の壁を崩しにきたなと思ったんですよ。

 

もうオブラートに包まず書いちゃいますが、『Impulse』は今回登場してない村正が、『Nameless Fighter』『獣』ソロパートは旧キャスト・財木くんの大倶利伽羅が歌った人気曲でしたよね。
そして刀ミュの歌…特に2部曲は、当時のチーム・キャストの個性を最大限に活かすような形で作られてる。
ファン心理としては、どうしたって複雑なところです。
それは歌った伊達二振も、セトリ組んだ運営の方達もよーーく分かってるはず。
特につるむくんは、自分自身が村正派のファンだから気持ちが分かる、って話してくれてましたし…。

じゃあ何で、わざわざそんな采配をしたのか。
「『この歌は●●だけの持ち曲』をやめるため」だと思うんです。

現実問題、キャストの皆さんに永続的に刀ミュに出て貰うことはできない。1年後には誰がどうなってるか全然分からないのが演劇です。
そうして欠員が出た時に、相方がいないから、メンツが足りないから、キャスト変更があったから……そういう理由で「今年は歌えない曲」「二度と歌えない曲」「『お前の歌じゃない!』を気にしながら歌う曲」が増えていくのは、すごく、すごくもったいないことだと思うんですね。
作られた歌も思い出も、素晴らしい財産なのに。

その暗黙のタブーめいた空気を、あえて最大の大舞台で、はっきり打ち消しに行ったように感じました。
メンバー補充やシャッフルユニットでも徐々にその境目は薄まっていたけれど、まだ弱い。
かつて”誰か専用”だった位置に自分が立って、先行者をすごくリスペクトした上で自分なりに歌い継ぐ気概を見せてくれたからこそ、その覚悟がガツン!!と刺さったんだと思います。

「この男士の曲、このチームの曲」として一度歌った後は、新しい魅力を模索しながら「本丸全体で受け継いで行く曲」へ。
移り変わるけど、以前のものが失われたり忘れられる訳ではない。
ミュージカル刀剣乱舞が10年、20年、ずっと続いていくコンテンツを目指すための、その重い嚆矢を、新世代を担う二振が派手に放ってくれた一幕だったんじゃないかな…と、ミュ本丸だいすきおばけは勝手に思った訳です。勝手にね!!笑

今思い返せば、加州単騎のJackal⇔2018村正&青江の解けない魔法っていう持ち曲交換がすごく魅力的に仕上がってたのも、気持ち的な受け入れを後押ししてくれたのかもしれないですね。
「本丸」が各部隊の寄せ集めじゃなく、ひとつの輪として豊かに広がっていく…。感慨無量です。

 

約束の空

(葵咲本紀)

 

篭手くんの「これがラストです!!盛り上がれェ!!」熱かったー!!
千秋楽のすていじでぶちあがる篭手切くん、どまんなか解釈一致です!!!笑

この曲をBrand new ”sky”と並べてくるのずるいよねえ…!
晴れやかアイドルソングなんだけど、どこかコーラスアンサンブルも思わせるような鮮やかな彩りの曲。素敵な取り合わせで採用されて嬉しかったー!
各所のハモりが大好きです…。ほんっと聞いてて気持ち良い…。
ちなみに空繋がりで、ネームレスファイターもさりげなく「サタンが導く空」出てましたね。
こんなところで3年越しのパライソ回収されるとか思わなかったよ!!笑


あとこの曲の男士配置もニヤけるほどに好きです。
村正パートは堀川くん、空に突き抜けるように華やかに通る声がすっごい合う!この曲も絶対相性良いと思ったんだ~!
「でもこの手は明日へと伸びてゆく~」の蜻蛉さんパートに至っては、まさかの担当物吉くん!熱すぎる!!

 

それから間奏部分の二列横隊ダンス、葵咲本紀では蜻蛉さんがやってた震源地ポジションを杵くんが…!!
ゲームの「(極修行中に武功を積めないとしても)せめて蜻蛉切には負けられん」が大好きなので、あの貫禄のセンターを引き継いで見せつけてくれたの最高でした。

確かさいたまだったと思うんですけど、Cメロの「瞬きもせずーーーuhーーーーー」をアップで抜かれるとこで、鶴さんがやっばいウインクぶちかましてたんですよ。
よくあるパチーン☆じゃなくて、丸1秒くらいでゆーっくり閉じて開く、すごいしっとり感のやつ…。
見た瞬間、2018祭『In my light』三日月の「(消せない 消せない 消せない)ひーかーりーがーー♪」のやっっばいウインク思い出して、つるむくんはまりちかさまの系譜…?!って慄いたので、忘れないように書き留めておきます(笑

 

この曲のラスト「「「I never forgetーーーーーー♪」」」のハーモニー、どこか天上の音楽っぽい金管ファンファーレを感じてたまらんです。
みほとせ再演では村正派のハイトーンがその光溢れる感じをリードしてくれてた訳だけど、そのどちらもいない状態でも同じ種類の…なんだろ、「声で作る光の梯子」みたいなものを感じられたのがすごく幸福でした。
広い会場で聴くのすっごい気持ちよかったなー!!

 

 

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さすがに1記事が長くなりすぎたので分けました…(笑

後半に続きます。

 

 

https://musical-toukenranbu.jp/pages/utaawase_ranbukyouran
M1『奉踊(ほうよう)』
作曲:和田俊輔 編曲:和田俊輔、YOSHIZUMI 振付:DAZZLE 

M2『神遊び』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:和田俊輔 振付:桜木涼介 

 

【懐かしき音】
脚本:浅井さやか

M3『懐かしき音』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:桜木涼介

M4『懐かしき音rep.』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:桜木涼介 

M5『お百度祷歌』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:桜木涼介

 

【根兵糖合戦】
脚本:畑 雅文

M6『CONFEITO』
作詞:畑 雅文 作曲・編曲:オレノグラフィティ 振付:桜木涼介 

 

M7『mistake』
作詞・作曲:多田慎也 TAKAROT 編曲:TAKAROT Stage Arrangement:YOSHIZUMI 振付:本山新之助 
  M8『Impulse』
作詞:Kenji Kabashima(Wee's inc.) 作曲:Kenji Kabashima(Wee's inc.) Sugaya Bros.(Wee's inc.) 編曲:Sugaya Bros.(Wee's inc.) Stage Arrangement : YOSHIZUMI 振付:本山新之助 

M9『Stay with me』
作詞:miyakei 作曲:大智 児山啓介 編曲:児山啓介 振付:本山新之助 

 

【にっかり青江 篝火講談~夏虫の戯れ~】
脚本:赤澤ムック

M10『にっかり講談~始~』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:DAZZLE 

M11『菊花輪舞』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:坂部 剛 振付:DAZZLE 

M12『にっかり講談~終~』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:DAZZLE 

 

【梅 the Way】
脚本:川尻恵太

M13『Brand New Sky』
作詞:前迫潤哉(Wee's inc.) 作曲:前迫潤哉(Wee's inc.) ツカダタカシゲ(Wee's inc.) 編曲:ツカダタカシゲ(Wee's inc.)  Stage Arrangement : YOSHIZUMI  振付:本山新之助 

M14『Nameless Fighter』
作詞:ENSHU(Wee's inc.) 作曲:ツカダタカシゲ(Wee's inc.) ENSHU(Wee's inc.) 編曲:ツカダタカシゲ(Wee's inc.) 振付:本山新之助 

M15『約束の空』
作詞:miyakei 作曲:大智 原田峻輔 編曲:原田峻輔 Stage Arrangement : YOSHIZUMI 振付:本山新之助

 

*1:spoon 2Di Actors Vol.9