Million Notes

刀ミュ・歌・演劇の話をしまっておくところ

【後半】歌合 乱舞狂乱感想 -歌と刀とかみさまと-

季節はずれの歌合感想文、後半記事です。

前半記事→https://taka-koro.hatenablog.com/entry/2020/07/22/225001

 f:id:taka_koro:20200723211637j:plain

<目次>

芋(仮) 

 公式タイトルの無い小話。
内容は「おおくりからと おおきなおいも」。
この話の間だけ、空間がNHK教育テレビでしたよね…!?笑

 

巴形薙刀が畑の芋を抜こうとするが、慣れない仕事で(…)上手に抜けない。

通りかかった安定と陸奥守が手伝うけれど、やっぱり抜けない。
さらに通りかかった伽羅ちゃん、いつも通り慣れ合いを拒絶しようとするも、むっちゃんに「最近畑仕事に熱心じゃろ!大きく育ったがはおまんのおかげ!」と促され…
いやほんと4等身作画の5分アニメで見たいやつ!!笑

 

最初に『名もなき径』「さらさらと…さらさらと…」がのどかで可愛いアレンジで流れるのが、なんかもうむりです…。

https://utaten.com/lyric/mi18111004/

「行くべき場所もなく 彷徨い 漂い 溶け合うだけ…」

ってひんやり歌ってた巴さんの物語が、本丸でさらさら綴られて、枯れ落ち葉ならぬふかふかの豊かな土になって降り積もっていくよ(;;)

 

むっちゃんが伽羅ちゃんの作業に気づいてた件については、『懐かしき音』のパートで、一人黙々と畑仕事をしてる伽羅ちゃんをしっかり見てるお芝居が入ってたそうで…。
もうほんとミュ本丸のむっちゃん大好きです。
目端が利いて気が利いて、周りをさりげなく明るい方向に連れ出すのが上手くて、本丸に一人いてほしいむっちゃんすぎる。

 

「さつまいもだな。(エエ声)」
笑う。可愛い。なんでこんなにツボってるんだか分からないんですけど、「さつまいも」って言うだけでかっこいい伽羅ちゃんほんと何。かっこいい。

そしてホームグラウンドみほとせの民なので、こんなほのぼの話でも
?「うわあ、おらぁもこんな芋見たことねぇです!榊原さまはすげぇや!!」
みたいな幻聴で勝手にブワッ(´;ω;)ってなってしまう。

伽羅ちゃんが丁寧に育てた畑、きっと桑名くんが後でいっぱいいっぱい褒めてくれるよ……
「戦に勝つためには土と向き合うこと!」の台詞になんともいえない顔をしてほしい……。

 

 

物部の役割(仮) 

今回唯一の歴史人物パートでしたね。

何が何でも家康に鯛の天ぷらを食わせようとする時間遡行軍
 vs
歴史を守る物部としてその企みを阻止する信康・貞愛の暗闘!死闘!いやなんだこれ!!笑

 

年末フェスの好きなところに、義経公が「兄上!泰衡どのー!」ってにこにこしてたり、近藤さんと榎本さんが対面したり、歴史上の人物の境界も取っ払われるっていうのがあるので
(去年までの空間とは少し違うけど)なかよしドタバタ徳川ファミリーが見られたの超嬉しかったです。
弟たちの前でオニイチャンしてる信康さんも、信康さんの前でだけかしこまっていい子になる貞愛も大好きなんですよぉ…。

 

家康公の描かれ方の、
 戦嫌いで温かな人柄の青年期(みほとせ)
 →威厳に満ち、時に冷徹にも見える老年期(葵咲本紀)
って変化もあの連作の見所でしたが。
老年期バージョンのお姿で登場しても、根っこの部分は素直で子煩悩でちょっと剽軽な、あのみほとせ家康公だよ!って感じにほっこりしました*´`

あと秀康……帰って来てくれてありがとう秀康……!!
気軽に父上を酒に誘える関係よかったね…お祭り空間の魔法ありがとう…。

父上といえば、千秋楽で鯛落っことしちゃった家康公、多分軽いアクシデントだったと思うんですけど
貞「何やってんだよォ!!息子だぞ拾えよ!!#」
って最ッ高のアドリブ決めてきた永見=貰われっこ=貞愛、まじで”持ってる”神主ですね!?笑
(あの空気がアドリブじゃなくても逆に凄い)
鯛になったり牛になったりダンゴムシになったり、八面六臂の日替わり大活躍お疲れさまだ!!

 

ただでさえ『前進か死か』の入りが怒涛すぎて笑うのに、吹き矢で綺麗に倒れた秀康がムクッと起きて、秒でキレッキレの剣舞始めるのずるすぎる。
双子のために用意されただろう「俺がお前か お前が俺か」のハモり、音源に残ってよかった~~~~(;;)

一人センター通路を行く父上の背中、そして「だがいいか 忘れるな」の声もかっこよかったですね…!!権現様!!

2017祭では「はなせ吾兵~!わしはあの花を半蔵に見せたいのじゃあ~!!><」ってやんちゃな若様だった信康さんも、すっかり一家の屋台骨になられて…。

あの吹き矢は、某ハダカのおじさんに教わったんでしょうか…笑
徳川ファミリー愛しすぎる。ほんとまた会いたいです、来年も出てくれるといいなぁ…!!

 

美的風靡

(脚本:三浦 香)


ぬばたまの わがくろかみに ふりなずむ あめのつゆしも とればけにつつ
万葉集:私の黒髪に降った天の露霜も、手に取れば儚く消えてしまうのです 巻7 1116)


和泉守・蜂須賀・青江、それぞれに丈豊かで美しい髪を持つ男士たちによる、風呂上りのヘアケア談義。
青江の持つ椿油と、ここにいない「もう一人」の湯上り組の関係は…というお話。

もーーみほとせクラスタ、この歌合一回で何回撃ち抜かれればいいんですかね!?
葵咲本紀冒頭であれだけ隊のメンバーを恋しがってた村正に、青江から、そして本丸の仲間からこんな返歌があるとかさぁ…!
全滅寸前の激闘から帰還した村正達、めちゃくちゃ労われてほしい…。

にっかりさんの願掛けは、もう問答無用で優しい&いとしい。
それを聞いてすぐ「俺も貰っていいか」って応じてくれる、蜂須賀の素直さもすっごく良い。
そして声をかけたは良いけど照れくさくてそっぽ向いちゃう、でも「君も祈ってくれるのかい?」って水向けられると「おう!!」って力強く頷いてくれる兼さんも最高に兼さんだったー!!
あとごま油トリートメント事件に対する青江の「勇気を称えるよ。」がまじでミュ本丸の言語センスによるツッコミで、三浦先生のキャラ掴みすごいな!?って舌を巻きました(笑

 

小狐丸はどういう手入れをしてるんだろう?のくだりとかもね…。
長髪組としてちゃんとカウントされてるのが嬉しい
+ちょっとミステリアスな立場にいるのもミュ本丸の三条っぽくて良い
+でもそれを変に特別扱いにせず、「ま、謎の多い三条さんだしな!」ってサッパリ流してくれる兼さんが、ちゃんと仲間同士の距離感で最高。
2016乱舞祭とか、あのバケモノ爺さんたちに割と盛大に振り回されたのにね!
夢オチでノーカンかもしれないですけども!笑

ていうか蜂須賀の「肩の前に垂らした髪にオイルを揉みこむ」仕草、ロングヘア持ちの動作として精度高すぎませんでした???
あまりにも自然な、女子鏡前で見るやつだったよ…びっくりしたよ…。
しっかりと櫛で梳かす!って時の兼さんの仕草もすき…コシとボリュームある分、手入れにけっこう力要りそうですもんねあの御髪…。
青江が「ふぅ…。」って息つきながら髪拭うのといい、なんかこのパートよく分からない感じにリアリティがすごい。
ロングヘア纏めて手入れ始めるとき、リラックスと億劫さの微妙な狭間で、なんかなりますよね「ふぅ…。」!笑


あとなんといっても  軽  装  披  露  !!!!!!
ありがとうございましたーーー!!!!!

軽装が始まったとき「需要に敏感なミュ審神者P、一通り出揃ったらブロマイドとか出してくるんじゃ…?」とかTLで言ってましたけど、そんな手ぬるい話じゃありませんでしたね。
ホットな時期を逃さない上、最高のシチュエーションで調理されて白旗でした。まいりました。
しかも蜂須賀の軽装を、ゲームのアップデートに合わせて、大阪・東京の2都市のみのために作ってくれていたという…!!
この「削減しようと思えばできる追加コストをかけてでもファンがぶちあがるものを見せてくれる」スタイル、全員分の内番衣装くれた2016乱舞祭から変わってなくて、ほんと頭が上がりません。


『夕涼み 時つ風』も良い曲だった…。
会場を盛大にどよめかせた某助手さんにはツッコミません!!笑
「ぶっとび演出をクオリティで押し通してくるのずるい」って前半で2回も言ったから!!!

風が運ぶは 便りか祈りか
月が憂うは かの空か この空か

夜風がそよぐような優しいメロディに乗るこの歌詞、出だしから美しすぎる。
三人の声も良かった~~~…
兼さんの歌が、出だしからすっかりがっつり自信と詩情に溢れたセンターのお歌でいらっしゃる…。
蜂須賀の声の響きもこういうしっとり聴かせるバラードを奏でられるくらい豊かでジンときてしまったし、何より青江!
青江の高音がほんっとすき…!!


もうこれは、歌だいすき&ミュ本丸だいすきおばけの妄言だと思って頂きたいんですが…。
ある意味、今回の『歌合』の通奏低音のようなテーマを体現してくれたのが、篝火講談→美的風靡の青江だと思ったんです。
刀である青江は、「きみに触れられたとしても斬ることしかできない、”交わる”というのがどんな感覚か知ることはない」と語ってた。
でも刀剣男士となった彼は実のところ、誰かと交わる手段をちゃんと持ってるんですよ。歌のことだよ。

祈りを託した言葉は旋律に乗って、隣の誰かの声と絡んで溶け合い、交じり合う。
気持ちを許して、委ねて、心を重ねていく。
そういう心地よさとか、ちょっと切ない温かさを体現してくれるような柔らかいハーモニーがもう、心のやわらかいとこに直撃しました…。

お芝居としてのキャラ像の変化と、キャストさんたちの実力向上・信頼の深まりが上手く響き合っての形だと思うんですけどね。
2017乱舞祭、幼子に手を取られたときのびっくりした顔とか、『てんてんてのひら』のどことなく幼くて合わせ方を探ってるような声から、ここまでの段階に来たんだなぁと…。
身体と心を得る苦しさ、けれど同時に、それを誰かと分かち合う手段を手に入れること。
今回の『歌合』エンディングにも通ずる歌の力を感じて、すごく思い深い一曲になりました。

 

あとぜひともいつか、湯上り組フルメンバーを見せてほしい!!ブロマイドとかで!!何の特典でもいいので…!!
って思いと、美麗値MAXのミュらまさ vs あの主張強すぎる「 村 正 」浴衣は何回想像しても笑うごめん、って気持ちが喧嘩します。
でも最終的にババーンと着こなしてくれると思うんだ!見てえー!!笑

 

 

描いていた未来へ 

(初演・阿津賀志山異聞)

 

ここにきてこの曲…!!
Brand new sky → Nameless Fighter → 約束の空 の流れでも思いましたが、今年の選曲が全体的に、まっすぐ未来を指して前進していくようなコンセプトで来てるなあと思ったところで!
この元祖光属性ファイトソングはやばい!!

描いていた未来へ 僕らは行くんだ
それぞれの愛を それぞれの思いを この手に抱きながら

2016年乱舞祭で大好きだった間奏の振りを、またステージ上で見られると思いませんでした…。

 
振り付けは2016と同じで、でもダンスが危なげなくかっこよくなった以上に、”その頃には描いてもいなかった未来”に来てるんですよ。すごいねえ…。

タイムトンネル抜けるみたいなモニターの映像が大好きで、毎回映像制作班さんありがとう…ってなってました。

 

2番Bメロの「夜の闇 眠る木々~」の丸さんといまつるちゃんの掛け合いもすき!

いまつるちゃんが加州・丸さんが三日月パートを担うことで、ちゃんと「阿津賀志山異聞」の曲だよ、大切にしてるよって言ってもらってるみたいで凄く嬉しかったです。
ハケ際に「まだまだ功績を狩りつくしていきますよぉ!」って岩融の台詞言ってくれるいまつる様が!最高です!!大好き!!

 

 

小狐幻影抄

脚本:白川ユキ


ふたつなき ものとおもひしを みなそこに やまのはならで いづるつきかげ
(古今集:月はひとつきりだと思っていたのに、この水底に、山の端でもないのに月が出ていることだ/紀貫之/巻11 881)


小狐丸が明石に語る、少し不思議な事件のお話。
ある夜、月を愛でていた小狐丸のもとへ、長曽祢・御手杵・堀川が次々に、もう一振の小狐丸を見たと告げに来る。
鶴丸に「こりゃ狐にでも化かされたんじゃねえのか?」と揶揄われ、まさか!と返答する彼らだが、小狐丸は四振への違和感に気づき…という筋立てでした。

あっぱれ見事な一話でした!!!!!

和歌をモチーフにした六つの話の締めくくり、そして実質座長である小狐丸が務めるに相応しいお話だった。
外部脚本を採用した今回の試みでは、今までに無かったカラーを沢山見せて貰えましたよね。
その分最終話では、作品全体の空気を『刀ミュ』の世界観にガッ!と収束させるぞ。その大役を担うのは小狐丸お前だぞ、とでも言うような采配だったなと…。

ここに古今集の編者で、かつ『歌合』大テーマである「やまとうたは、ひとのこころをたねとして…」を綴った仮名序の書き手・紀貫之の歌を持ってくるのがまたニクい。くそう。
現世ノリに馴染みまくった陽キャ本丸のようでいて、こういう雅趣もめちゃくちゃしっかりしてるのが刀ミュの仕事ぶりですよ…!!_(:3」∠)_


「綺麗なお月さんが、ふたーっつ。」
ここの画よかったですねえ…。
ステージの広大さが目一杯活きて、本当に本丸のだだっぴろい池の前にたたずんでるようなスケール感だった。
『つはものどもがゆめのあと』で曇りなき満月になぞらえられた小狐丸をこういう使い方してくるの、ほんとだめです好きすぎる。

後半あんなに神々しい話なのに、口いっぱいにあぶらげ頬張ってたじゃないか!って言われて「断じてそのようなことはいたしませぬっ!(プン!)」ってなってる小狐丸いとしいし、大真面目にお味噌汁の具心配する男士かわいいし…。
っていうかでっかい組の「「それは一大事だ!」」とか、鶴丸に驚かされて「「うわーーーーっ!?」」て逃げていくとことか、やたらユニゾン発揮してくれるのが楽しくてもうww
あと一話目でもそうだったけど、全く驚いてないのに「心臓に悪いですよ」っていう小狐さん、ホント三条そういう御刃たちだよね大賞。


最初反芻してたときには
「あれ、化かそうとしてる御手杵(影)や鶴丸(影)が『油揚げほおばってた!』『狐にでもばかされたんじゃ?』ってヒント出してくるの、どういう展開なんだ…」
って首傾げたんですけどね。
アッそうか、はなから化かしきりたい訳じゃなく、むしろ種をちらつかせていつ自分に気づくかの戯れを仕掛けてたのか!?
って思って見るようになってから、小狐丸がきょとんとしたり、「はぁ!?」って驚いたり、何か考え込んだりするたびに反応を伺う、影狐視点の楽しみを覚えちゃいました(笑


ちょっと不気味な狐ダンスも良かったですね~!!
「人の欲望か」のところの鶴さん、お面の下半分からニヤッとした口元がのぞく、なるほどこの画がほしかったんだな!って物を体現できてて最高…!!

曽「にせもまことも」贋作と真作の物語を負う、誠の刀の曽祢さんに
杵「ゆめもうつつも」炎の夢と、実体を失った現実に悩まされてた杵くん
堀「般若も菩薩も」鬼の副長が”慈母のように慕われる”ようになった姿をむすはじで見てる堀川くんと
鶴「死者も生者も」墓に収められ、また取り出された逸話を持つ鶴さん

表裏対立する概念を周囲に纏いながら、その中心で踊る小狐丸が楽しそうに笑ってるのがもう堪らない。
「狐にゃおもてとうらがある」
折り目正しく”舞う”稲荷明神ゆかりの神様であると同時に、いかにも妖めいた狐と息を合わせて”踊る”野狐の性もある!!
「さてと、では踊りますか!!」の声がめちゃくちゃ良い!
もーーすきーーーーー小狐丸かっこいいよおーーーーー!!


そしてツケ打ち→鼓の打撃音から満を持して現れる”真打”、もう一振の小狐丸。
これ、意味を理解した瞬間から、ぶわーーーって立った鳥肌が収まらなかったです。
本体と見紛う背格好、足腰の運び、小狐丸としての所作……クレジットなんか無くても、演じてる方は一目瞭然でした。

 

2018年夏、阿津賀志山異聞(再演)の日本公演。
網膜剥離によるドクターストップで出演できなくなってしまった北園涼さんに代わって小狐丸役を務めたのが、刀ミュの発足時から出演されてるアンサンブル・ダンサーの岩崎大輔さんでした。
限られた時間・とんでもない重圧の中で前例の無い代役公演を演じきって下さった、あの公演に対する思いは尽きません。

北園さんの小狐丸が復帰してくれて嬉しい。
でも岩崎さんの小狐丸も「本物がかえってきたからお役御免の代用品」みたいな位置づけにはしたくない。
岩崎さんが演じてくれたのも確かに『刀ミュ本丸の小狐丸』で、それは決して北園さんの存在と矛盾するものではなくて……みたいな、一口に言えない悲喜交々が去来する中の

ひとつはわたし ひとつもわたし

静と動 表と裏
私とお前 お前と私

鏡合わせの この心
向き合えば 影の如く
溶け合えば 鉄の如く

今 ひとつに戻るだろう
今 ひとつに戻るだろう……

この歌詞ですよ…!!!!!!
真打であり、影打である小狐丸。
原作小狐丸の「溶ければみな鉄よ」の台詞を仲立ちに、生じてしまった二振の小狐丸を”歌って、溶け合わせる”会心の一手!!!!!
こんな昇華の仕掛け、どんな愛情と思考回路があったら叩き出せるんですか。
意味が分からない。ほんとに分からない。

さらに続くのが、

人なりや 物なりや
神なりや 妖なりや
人なりや 物なりや
影なりや 我なりや……

2016年の乱舞祭で「物なりや、人なりや」と問いかけたのが、外ならぬ三条の面々でしたよね。
そして問われた加州清光が 「物であり人である俺は、全部繋ぐ。俺は『刀剣男士』だ!」 と答えたことに、意を得たりの表情で微笑んでました。
となれば上の歌詞の語るものは

「人であり、物である」
「神であり、妖である」
「影であり、我である」………

\もうむーーーーりーーーーー!!!(;;)/

選ばなくていい、切り捨てなくていい、狭間にあるモノは”どちらでもあれる”!!

狭間の存在を両義性の豊かさを誇る形でとらえてきた過去公演の精神が、こんなに美しく実を結ぶところを見られるなんて…。

2次元と3次元のはざま、「2.5次元」というジャンルに真摯な制作陣の方が築き上げて下さったものだから猶のこと、震えるような心地で見てました。

 

そして あの、ごめんなさいもうちょっと喋るね!!笑

ここまで過去の公演だの代役だの、完全にメタ視点の刀ミュ史を前提に語ってきてしまった訳ですけども。
そういう予備知識全部さっぴいて、ストーリーそのまま「あの狐面の下にはまったく同じ顔の小狐丸がいる」と想像する形で見ても、ほんとここ凄いと思うんですよ…!!

オモテは「表/おもて」であり「面/おもて」。
対してウラは、「裏/うら」にして「心/うら」である。
うらやましい→心病ましい、うらがなしい→心悲しい。目に見える「面」に対し、目に見えない「心」を表す言葉としてウラの語がある。
能『小鍛冶』を顕現の核とし、その中で”裏には我が名”を刻んだ小狐丸が、面(おもて)と心(うら)に絡めて表裏一体の妙を語るこの仕掛け、あまりにも熱すぎる…!!!!!

目に見えるもの、目に見えないもの。
おぼろな虚構も、確かな事実も表裏一体。
形ある「物」、形無き「語」、ふたつを束ねた「物語」よすがに顕現する刀剣男士を、能と、小狐丸と絡めてこう展開させてくるのか…!!って、腹の底から唸るような一幕でした…。

 

そんな話の末の

虚構も事実も、表裏一体なのです。
信じてもよし、信じなくてもよし。
私は信じ、もう一振の己を受け入れた。

──それもまた、よし。

この結び、もう最高。

この話の明石国行は、小狐丸の後を尾けていたと思われる。

なぜか?
あくまでファンサイドの妄想ではありますが、この本丸にはもう一振、夜にふらふら出歩いては得体の知れないことを繰り返す困ったじじいが居ますよね。
明石と同じく確かな”実体”を持つ一方で、”虚構”の上で小狐丸と表裏に名を刻んだ刀工の名を持つ誰かさんが(笑

穿った見方をすれば、葵咲本紀で三日月の行いを歴史改竄だと断じて対立しようとしていた明石に「さて、ことはそう一面的に行くでしょうか?」と投げかけたようにも見えますね。

はーーーーーいやもう……ミュこぎさん凄いよ…かっこいいよ…美しいよ……だめだもう語彙のストックが無くなってきた……。


──なんて、ここまで密度ぎっしりのどえらい話やっといて、入れ替わりトリックのちょっとした驚きと
「…御手杵はぁ~~~~~ん!!」
の笑いで締めてくるからほんとさぁ!!
今回もまんまとミュ審神者Pの手のひらの上ですよもう!!!笑
入れ替わりトリック、葵咲本紀の信康さん⇔スタントを見てたので仕掛け自体はすぐ分かりはしたんですが、それでも初回はめっちゃ気持ちよく化かされましたw
楽しかったなぁ…。ほんと楽しかったです…。


余談。
歌合見に行ったフォロワーさん達に何度も言ってたんですけどね。
私この脚本を担当したの、絶対いつもの御笠ノ先生・作詞は浅井さやか先生だと思ってたんですよ…。
今思えば冒頭の精度に少し違和感はあったんですが、一本だけ脚本の密度がおかしい!!ここまで深く伝統文化と刀ミュの世界観に接続して言葉の綾を織りあげる話、招待脚本の方に書ける訳がないでしょ!?っていう衝撃が強すぎて。

ところが蓋を開けてみれば、脚本・作詞ともに、担当されたのは白川ユキ先生。
………いや誰!!?
と思ったら、これまで御笠ノ先生の助手をされてた方・脚本は今回がデビュー作とのことで…!
これはもう本ッ当にやられた!!ばかされた!!笑
御笠ノ先生によるリテイク入り、かつ資料や知識基盤もある程度共有されてるとくれば、同じ路線に乗って来るのは頷けるっちゃ頷けるんですよ。
ただ、上で絶賛したような言葉の妙については紛れもなく、白川先生の誠実な掘り下げと筆力によるものだと思うんです。

キャストのみならず脚本においても”影打で真打””次代への継承”めいた流れがあったことが、本当に衝撃的でした。

 

 

響きあって

(再演・三百年の子守唄)

大会場で聴くのを夢見てた曲!!
大好き!!やってくれてよかったー!!!!
一万人単位の”波となってうねりだす歓声”の中でこれを聴くの、格別の体験でした…!!

疾走感たっぷりのみほとせ組、めっちゃ笑顔のこてくん、幕末スクエアでの登場からもうボルテージMAXですよ。
伽羅ちゃんと兼さんのふつふつ滾るような「情熱という名の約束を」最高だったし、
「触れ合う」
「跳ね合う」
「「重なり合う」」
で村正派の振り付けを再現する土方組の\ナイスコンビ!/ポジションありがとうございました。

あと「異なるBeatがぶつかれば」のところの篭手くんと杵くん、そんな体格差完璧なことあります????

 

蜻「This time ひとつのこらず…」
みほとせ公演での深みのある表現も好きだったんですけど!大劇場用の歌い方になってたここのパワー、圧倒されますね…!!

あと公演ver.で、丸さんの「声を聴かせて…」に応えるみたいに伽羅ちゃんが「響きあってーーーーー!!!!」ってとんでもねぇ声鳴らすの大好きだったところ、青江が引き継いでくれて嬉しかったー!
みほとせのストーリーで、伽羅ちゃんと神剣回想コンビそれぞれの、投げかける→応えるやりとりが好きだったから…。
めちゃくちゃ言いそうですもんミュっかりさん、「声を聴かせて」!
青江といえば、その直後の「刻ん”で”ーーーーー♪」が超かわいい~~~~~!!_( _ ∠)_
菊花輪舞は優雅なバイオリン独奏だったのにこっちはセッションでテンション上がっちゃったやんちゃな金管楽器!!かっわいい!!笑

 

最後の「Just give me clap and callーーーーー♪」の蜻蛉さん&兼さんのハモりも!!
めちゃくちゃ嬉しかったー!!!
ラジオで兼さん役の有澤くんが「みほとせ再演の曲買った!今までの作品の2部曲で一番好きかもしれない、ユニゾンの声の揃い方がすごい」って話されてて…その時点で幸せで…。
さらにそれを自分自身で、あの蜻蛉さんとタイマンで見せてくれたの熱かったです!!


2018年までは蜻蛉さん、頭ひとつ抜けたハイポテンシャル故にちょっと特別扱いというか、単身で見せ場担うことが多かったと思うんですよ。対等のデュオパート持つのは基本村正のみ。
でも2019は鶴さんを筆頭に小狐さん・堀川くん・兼さん、パート代わったりガツン!と声ぶつけたりできるメンバーが出てきてくれて…。
皆で強くなっていく本丸を、「響きあって 今が深くなる」のフレーズと一緒に感じられたの最ッッッッッ高でした。

…この曲「大好き嬉しい楽しい熱い最高」しか言ってないですね!!笑

まあいいや、そうなんだからしょうがない!!

 

 

百万回のありがとう

(みほとせ再演)

これはだめです。
このタイミングでこの曲はだめです。

けして平坦な未来じゃなかったとしても必ず
届け 最高のありがとう

それこそ決して平坦とは言い難い道を辿ってきてるミュ男士達にこんなん歌われたらさぁ…!
ありがとうのコールめちゃくちゃ頑張るしかないじゃないですか!!客降りにはしゃいでる暇なくなるわ!!笑

 

「共に歩む 道の先の先へ…」の青江の声の優しさがたまらないし、「両手いっぱいの~♪」の物吉君、そんな、そんなナチュラルに身体に響いてる良い声を…ウウ…。

そして「約束は絆に変わるのさ」の蜻蛉さん、お花背負った乙女ポーズがそんなに似合う東国無双どういうこと。温度差!!

 

10年後も20年後も

あなたと歩めますように

本当にそう思うよ…。
刀ミュ2部、かっこいい曲・コミカルな曲・大人でセクシーな曲・シリアスで切ない曲って色々あるけど、必ずどの公演にも
「笑顔になろう、一緒に歌おう」
「だきしめたい」
「だいすきだよ」
「大丈夫」
「ありがとう」
まじりっけなく、まっすぐできらきらした詞の曲があるのほんとすきです…。

去年の「大好きだよ」くらいの回数「ありがとう」言わせてほしかった!!

杵くんと丸さんが肩くんでると思ったら埋もれてたいまつるちゃんかわいすぎました(笑

 

 

 勝ちに行くぜベイベー!

(葵咲本紀)

今年のタオル曲は葵咲本紀から!
着席だし周りの御迷惑になっちゃいけないし、アーティストライブと違って手元でちょこっとだけしか回せないんですけど(笑)
それでも「まわせ~~~!!」の声聞くの大好きだからタオル曲ずっとやってほしい。
村正がいたら絶対「ショウ!ショウ!ショウ!」のところでアップ抜かれたんだろうな~!見たかった…!

 

あとこの曲、篭手くんが絶好調でしたねww
歌って踊ってるとこがすごい楽しそうなのに留まらず、バリエーション豊かなハート&ウインク&投げキスファンサを大盤振る舞いされていて…絶対あちこちの本丸のこてくんの研究ターゲットになってるよ…。

それから「Hit and run 燃やせハート 撃ち抜いて」のとこでフレームインしてくる鶴さんが!!
当たり前のようにくる~ん、って優雅に回転して入って来るのめっちゃすき!!!!!
鶴さん!そういうとこよ鶴さん!!

「ベーーーーーイベーーーーーーーー!!!」の蜻蛉砲気持ちよすぎるし、\よっしゃー!かったぜべいべー!!!/って帰っていくいまつるちゃん可愛すぎるよ…。

 

そして聞いて下さいよ。
この曲の時すぐそばで岩崎さんが踊ってて、目の前で「あお~~~~ん!!」やってくれたんですよ…。
背中反らしたすっごい\遠吠え!!/って感じでかっこよかった…。
あのでっかいエアハグする曽祢さんと、伽羅ちゃんのガン見ファンサを受けてる伽羅ちゃん推しさんも目撃しましたw

 ステージ上であんなにも輝いてる男士たちが動くと風を感じるような位置でにこにこしてるの、何年経っても慣れませんよ。凄いことだ…。

 

もう理屈でなく \これだぜ!!!!!!!!!/ って気持ちになる曲!!!!!
ドゥンッダドゥンダッ!ドゥンッダドゥンダッ!のイントロが流れた瞬間に「よっしゃキタァ!!」って客席に膨れ上がる熱気、なんかこう他にない圧倒的な強さがありますよね!!笑

開幕土方組のさ……シルエットの対照っぷりが最ッ高でしたね……。
そして今ハケたと思ったらポップアップで飛び出してくるいまつるちゃん、まじで機動が小天狗。

 

この曲になると眼ぎらつかせて牙剥いて思うさま荒ぶる男士達が大好きなんですけど、今年一味違ったのは蜂須賀!!
去年まではわりとしなやかに、品を保った状態の覇気で踊ってたのが、今年はかなりワイルドにガツガツ行くようになってた…!!階段に脚ガッて開いて座るレア須賀がいた!!
冒頭でスタンッ!てステージ乗り越える伽羅ちゃんは狼みたいでかっこいいし、むっちゃんの「俺たちの紋章」の吼え方も最高!
「We rock you おおおおっおー」でグラフィックポイ左右に振ってる青江はこんなときでもにっかりマイペース崩してなくてすごい。

 

牧伽羅ちゃんソロパートへの思い入れについては、『Nameless Fighter』項でさんざん喋ってしまった通りなんですが(笑
パステルのあの日見た夢を」の鳴り方がほんっと、真っ赤な炎が天まで燃え上がるような牧伽羅ちゃんの魅力全開で大好きです。

そしてそこに飛び乗って来る鶴さんがもう…!!
伊達紅白を、よりによってクライマックスに揃えること考えたひと!!審神者の爆ぜさせ方をよく心得ていらっしゃる!!ありがとうございます!!!!!
最初の馴れ合いキャンセラーとか、これ見ちゃうと完全に布石じゃんね…。
鶴さんのほっそい身体が泳ぐくらいの勢いで拳突き合わせる伽羅ちゃんかっこよかった…。

鶴さん役の岡宮くんが伽羅ちゃん役の牧島くんに「輝くんはライバルですから!」って宣言して、牧島くんも「じゃあ俺もライバルだと思うから!」って熱いやりとりしてそのつもりで歌合の楽曲見てたのに、打ち上げの時の岡宮くんが、新作のこと考えて不安になったのか「輝くん……ライバルですけど僕のこと助けてくださいね……」ってもじもじ言ってたってエピソード*1、追い打ちとして完璧すぎてなんも言えねえ。ハイクオリティなパフォーマンスと板の上下のギャップのバラエティパックじゃないですか新生ミュ伊達……。

 

そしてラスト、小狐丸渾身の「己に牙を剥け!」アップね!!
去年は欠席だった『獣』を会場センターで思いっきり唸ってくれる狐さん、嬉しかったなんてもんじゃない。

今年も燃やし尽くされました。
最高でした…。

 

黒き影、寇す

サブステージでで息づく妖しげな薙刀の影、そこに影から湧きだした時間遡行軍たちが集まって来る。
八振そろった彼らは、巨石と刀の控えるメインステージへと殺到します。
そしてあわや刀に手がかるかと思われたところで、彼らは白色の帯に阻まれ散っていく。
ここで最後に斃れるのも薙刀でしたね。

「結界を破る行為はお控えください」
ネタバレ禁止をかっこよく言ったのかなー?( ・v・)とか思ってた冒頭の注意事項は、劇中でこんな風に使われてたのか…!!って、初見時固唾を呑んで見てました。

 

台詞は一言もありませんでしたが、凄くインパクトの強いパートでしたね…。
刀ミュ世界の時間遡行軍といえば、結びの響、始まりの音の「犬・猫・かたつむり」こと、巴さんとの表裏一体を語られた彼ら。
そして葵咲本紀でも

明「こいつ(遡行軍)とあんたの違いはなんでっしゃろ?」
篭「違いは──……ない」

刀剣男士と時間遡行軍は、紙一重の存在であることが語られてました。
(重たいエレキ×バスドラムの音も、葵咲本紀の『鬼哭啾々』と同じでしたね…)

形を取ることのできなかったものたち≒忘れ去られた名もなき刀≒黄泉の住人が、今まさに形を取ろうとしているもの≒新男士≒生の世界に手を伸ばそうとして叶わず散っていくようなあの風景、毎回ウグ…って胸を押さえたくなります。
「お前と俺たち、何が違うんだ。行かせない。こちらへ来い」
とばかり、追いすがって引きずり戻そうとするみたいで…。

 

生者と死者の世界は隔てられていなければいけない。
祭りの一時交わるとはいえ、狭間の存在をあちらに渡してしまう訳にはいかない。

それでも篭手切くんの歌ったように「夢見るのは眩しいまほろば(楽園)」、いつか、いつか彼らも光ある場所へ……
と願ってしまうような一幕でした。
最後の薙刀が力尽きるその瞬間、シャン、と優しい鈴の音が鳴るのが、あの本丸が手向ける祈りみたいだった。

 

 

かみおろし・君待ちの唄

全体の総仕上げであり、種明かしに当たるパート。
もう、もう、まさに文字通り『神がかった』くだりでしたね……!!

上空から差す光、鳳笙の音とともに、篝火を携え浄衣を纏って現れる白皙無垢の美青年って…なんてものを見せてくれるのかと…。
正直ここの姿だけで、鶴さんがミュ本丸に顕現した意義分の仕事してしまってると思う。

 

交わされた歌物語 かみおろし
昇る篝火 まれびとまだか
まれびとまだか…

言の葉よ 依代となれ
歌の音よ 依代となれ

 

まれびと=来訪神。
折口信夫先生の表現を借りるならば「人にして神なる」「常世から時を定めて来り訪う」もの。
この語が出た時の「え、何、男士達は誰を、ナニを待ってるの?何が来ようとしてるの…!?」ってドキドキから一気にクライマックスへつながって行く、ここからのカタルシスは凄かった。

 

 「やまとうたは ひとのこころをたねとして よろずのことのはとぞなれりける」
 人の思いで紡がれた物語を縁とし
 この世に生まれ出ずるのは 歌も我らも同じこと…

もーーーーーーーこの!!これ!!!
 刀剣乱舞原作設定の「モノに寄せられる思いで形作られる」刀剣男士(cf.兼さん手紙)
  ×
 和歌は人の心を種に言の葉として成る、と語る古今集・仮名序
刀剣乱舞と和歌から『心』っていう共通項をくくりだして、『歌』を依代に『男士』を喚ぼうとするっていう!

『ミュージカル・刀剣乱舞ならではの概念をぶっこんでくる、この構成たーーーまらん…!!


そして鶴丸の「これより先は、神の領域」という宣言とともに、さらなる仕掛けが始まります。
この曲の!!人×刀の誕生を重ねる歌の密度が!!やっっっばいと思うんですよ浅井さやか先生の神業…!!!!!
うるさいのは承知なんですが、すごい燃えどころなので喋らせてください!!!ちなみに多大な妄想を含みます!!!!!!笑

 

ひとつ 心の臓が脈打ちはじめ
(玉鋼 水減し 小割り)

人間の鼓動の始まりと、作刀工程のはじめ、玉鋼を平たく伸ばして砕く鎚の音がリンクする。
この時、最初からあまり強く叩くと砕けてしまうので、力を調節しながら始めるんだそうです。それもまた、生まれたての小さな鼓動に重なるようでたまらない…。

 

ふたつ 赤き血は巡りめぐる
(積み沸かし 折り返し鍛錬)

積み重ねられた鋼は溶け合って赤々と焼け、不純物を火の粉として打ち飛ばされながら一つの塊になっていく。
鍛刀と言われたときに思い浮かべる、いわゆる力強い鍛錬の工程ですね。血を巡らすべく、強くなる拍動。

 

みっつ まなこはまだ光を知らず
(造り込み)

硬さの異なる鋼を組み合わせて、いわゆる芯鉄・皮鉄の構造を作る工程。
技法により微妙に異なりますが、縦切りにすると芯鉄が瞳孔のようにも見える構造になります。ちょっと無理矢理ですけどもね!笑

 

よっつ 手足は分かれ 指を成し
(素ーー延ーーべーー)

ここがすっごく好き…!!伸びやかな声といよいよ刀の形を取るべく伸びてゆく鋼、手足や指が伸びて人らしくなっていく姿が綺麗に重なる感じ、ぞくぞくします。

 

いつつ 耳は音の意味も分からず
(火造り 切先 鎬 茎)

ここはさすがに強引になってしまうのでこじつけません(笑)もし何か仕込まれてそうなもの、ご存知の方いらしたら教えて下さい。

 

むっつ 口はまだ言葉を持たず
(生研ぎ 土置き 焼き入れ)

焼き入れは”刀に命が宿る”瞬間だと言われます。どの時代、どの地域、どの刀工の作品であるかを雄弁に語る刃文が生まれる工程ですが、焼きを入れただけではまだきちんと見えません。
最後の最後……

 

ななつ その肺に空気を吸い込めば 君は産声を上げるだろう
(鍛冶研ぎ)

研ぎ上げられることによって刃文が現れ、一振の刀として誕生する。
ここの蜻蛉さん、あまりにも強烈な歌唱力の有効活用…!!霊威に満ち満ちた男神の迫力で凄まじかった!!!

 

そして呼応するように激しくなる曲調、タララタララタララタララ、と3連符で連なるピアノがまさに”奔流”!満ち満ちたエネルギーが刀に流れ込む様のよう!!

「こちらへこちらへこちらへ サアサア!!」と男士が声を上げ、審神者は最後の唱和を求められます。
国生み神話において火の神・カグヅチを殺した剣、そこに滴る血から生まれた八柱の神の名前を綴る歌。男士と審神者の声が溶け合ってリンクする、ちょっとゾッとするような響きが会場に満ちていく。
ここで印を結んでる男士、全然瞬きをしないんですよね…。とくに青江の、ぽっかり硝子玉をはめこんだような目が鬼気迫る様相ですごい。

「刀」「人」「神」「歌」で溶かす大仕上げ。
「「「「八つ!!!!」」」」
力強い唱和につづき、判者の鶴丸

 

 今こそ呱々の声を 上げたまえ

 
呱々の声=産声を上げるように呼びかけると、青く沈んだ静けさの中に、重い鼓動の音が響いて…

 

 

八つの炎・八つの苦悩

雄たけびのような声を上げ、若い男神を表す「神体」の面をかけた何者かが立ち現れます。
(和歌の神であり武神である『三日月』の面の方が状況的には合うと思うんですが、色合いや作りが若い気がするんですよね…。)

吾を呼び起こすのは 燃え滾る八つの炎
吾に与えられたのは 肉体と八つの苦悩
 
五薀盛苦 この身に宿る苦しみ 痛み 悩み
なぜ我を生み出した 

八つの炎→男士達が物語をくべた六つ+『神遊び』『かみおろし』で灯された二つ、合計八つの歌の忌火。
八つの苦悩→仏教において、生老病死の四苦と愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦そして五薀盛苦の四苦を合わせた八苦。

 

ただでさえ四苦八苦って
「人が生きるということは、それだけで苦に満ちている」
っていう観念でもあるわけですが。
五蘊盛苦は特に「身心があることで感じる・考える・想うものに心囚われ生まれる苦しみ」で……ほんと、これを男士への問いかけとして歌わせるんかと……

要するに阿津賀志の岩融が「戦の道具であった頃は…ただ主の思うままに従っていればよかった」とか、
みほとせ伽羅ちゃんが吐露した「この感情と言うやつは、戦うには重すぎる…!」とか、

これまでの作品で、まさに皆が悩み苦しんできたやつなんですもん。
「ただの武器だったときには、疑問も悲しみも持たずに済んだのに」って。

 

それでも男士たちは、

ともに戦うため 使命果たすため
どうか力を貸したまえ
貸したまえ…

一斉に手を差し伸べながら歌うんですよ…。
ここ、それぞれの男士の所作が全然違うのが胸にギュウッときます。
巴さんや伽羅ちゃんは、自分の足場で静かに説くように。
石切丸は歩み寄りながらいざなうような仕草をするし、鶴さんは強い瞳で見つめる、蜂須賀は請うように礼をする。
そして篭手くんは、どうか、どうか!と縋るように全身で訴える。

それにマレビトの応えて曰く、

生まれた訳は問い続けよう 
この身が語る物語を 紡ごう

この最後の音、高らかに歌い上げるんじゃなく「つむーーーごーーーーーぉ↓ーーーーー」って1オクターブ落ちる重さが凄い。
冒頭『神遊び』の「しばしとどめーーーーーーーん↓ーーーーー」と曲運びがリンクすることにゾクゾクしました。
顕現の儀の最後の最後、覚悟を肚に落として、錨を下ろすように、自分の足でしっかりと地を踏みしめて生まれてくる感じで…。


そしてみほとせ以来の、審神者のあの一声!!


「来たれ 新たなる刀剣男士よ!!」


面を外し、名乗りを上げる桑名江・松井江!!!!
悲鳴みたいな歓声、爆発する歓喜!!!
ぶわーーーーーーーーーって花が舞って、視界いっぱいに光があふれるあの感じ!!

あの場にいる審神者の皆さんと、めちゃくちゃスケールのでかい「ゲームの顕現シーンの追体験」してる感覚に、うおわーーーーーーーー!!!!!!って全身震える気分でした!!!


だってさ。
だってよ。
こんなん想像できなかったんですよ。
確かにこれまでも、色んなメディアミックスで、出陣、ドロップ、真剣必殺、刀剣破壊…ゲーム内の色んな要素をやってくれてました。
でもまさか、日課で毎日見てる『顕現』を、2時間半かけた『歌合』と繋げてさ。
ゲームをプレイして、目当ての刀がやっとやっと画面に現れたときの、あの「わーーーーーやったーーーいらっしゃーーーーーーい!!!(;;)」って感覚を味わわせてくれるってさ…

プレイヤー冥利に尽きるどころじゃないですよこんなの。
なんもいえねえ。

舞い散る花びら、彩り豊かな光がぱぁっと弾けての…

 

 

あなめでたや

\あなめでたやーーーーーーーーーーー!!/
2017祭の壮大なかざぐるま、2018祭のしっとりとした帰り道の次はどうなるのかと思ったら、かつてなく華やかで幸福感溢れるエンディングでしたね!

あっぱれ寿・松竹梅
桜わらい 花びら舞い踊る

\めっちゃ札使っとるやないかーーい!/
…は冗談として!笑

このエンディングが「千と千尋」「(ゲームの)大神」って言われてましたけど、ほんとその通りの図だなと…。
日本の神様は笑って、喜んで、歌って舞って、宴会するのがよく似合う。
葵咲本紀の「咲く=笑う」を、顕現の桜に重ねて来るのずるいよー!!

 

本丸の一振一振が、まるで精霊の言祝ぎのように一言ずつ歌っていく、あの流れだけでもすごく好きなんですけどね。
蜻蛉さんソロの、噛みしめるように静かな歌い方から「あっぱれ寿・松竹梅ーーーーーー」ってぶわーーーっと音が広がるのが、”父親の感無量”って感じでたまらんです。

歌うたう 桜さく
音おどる あなたと 歌合
あなたと 歌合 

こてくんがほんとにほんとに嬉しそうな満面の笑顔で可愛かったー!!
にこにこしている男士は問答無用でよいものです!!
きょとんと真っ白な表情であたりを見回してた松井くんが、周りの男士に微笑みかけられて、歌いかけられて、だんだん表情がほどけて歌いだすところとかね…。
赤ちゃんが周りの人の笑顔の真似し始めるあれじゃんね!発育の過程の授業でやるやつ!笑

鮮やかな、華やかな、優しい、温かい、幸せなエンディングでした…。

 


そして今年のエピローグも可愛かった(笑
兼・陸「「よっしゃあ!!祝い酒だ/じゃーーーーー!!!」」
兼「一丁飲み比べでもしようじゃねえか!」
陸「おまん去年もそう言うて、いの一番に潰れちょったが!」

とか、審神者の\知ってたwwww/の心の声が聞こえるやつ。
去年も兄者のパリ土産要求とかあったけど、さりげなく過去のネタ回収してくれるのだいすきですw

あと物吉君の「ほら、御手杵さんも!」、あれ脇差に懐かれまくってそうなミュ本丸の杵くんを象徴するフレーズって感じですき!
こてくんにも言われてたし、絶対鯰尾にも浦島くんにも言われてるじゃんね…そのうち肥前くんが顕現したら「おい御手杵、お前もだろ」とか言い出すよ。まちがいない。

「力仕事なら俺たちに任せておけ。な?」って、杵くん相手に他の男士よりさらに一段ラフになる蜻蛉さんも大好きだし、「俺も手伝おう」の8文字でフゥーーーーーーーーー↑↑って言われる蜂須賀には笑ってしまう。もはやちゃんとデレてすらないのに、ハイハイ祭り日にはちょっとだけなかよしこてつ!って了解が形成されてますね(笑)。審神者の消化酵素が活発。

 

そして、最後を結んでくれるのは「歌」といえばの篭手切くんと桑名くんor松井くんの会話でした。

「歌が聞こえたんだ。──懐かしくて。気づけば一緒に歌っていた」

「これからもっとたくさん、一緒に、歌って踊りましょう」

冒頭の『神遊び』では、鶴さんが
「歌とは、ひとびとがその思いを、よろずの言の葉に託したもの。」
と、歌とは何かを語ってくれてました。

それに対して、歌に招かれ顕現した松井くんは「気づけば一緒に歌っていた」って呟く。
これが、歌の持つ力・その働きを教えてくれたんだと思うんです。

仮名序の言葉を借りれば

力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。

 

自分たちの心を編みこんだ歌を捧げて、彼岸よりのマレビトである新たな神を招く。

マレビトもまた己の心を歌い、問いかけ、そしてお互いの歌を溶かし合う。

同じ歌で歌って踊ることで、新たな仲間として共同体に加わっていく。

 

彼岸(あなた)の貴方(あなた)と歌合。

声と思いを合わせる『歌合』、美しかったねえ…(´;;)

 

そんな気持ちでいたので、カーテンコール前に「集え、我が刀剣男士達よ!!」の声で、最後に一振一振登場するシーンまで感慨深かったです。
あそこ、ステージ上に残されてた花びらが、皆の足元でちらちらするじゃないですか。
今回顕現したのは江の二振だったけど、きっとどの男士も同じように、望まれて、愛されて、桜のわらう中で生まれてきたんだなぁ…って、ゲームの顕現画面と重ねてじんわり来てたりしました…。

ミュ本丸も、自分の本丸も、ますます愛おしく思えた『歌合 ~乱舞狂乱~』でした。 

 

 

おわりに ~『八』の物語~

ミュージカル刀剣乱舞は”数のまじない”を大切にする物語だと思っています。
まじないっていうとスピリチュアルな何かみたいですけど、要するに過去の人々がモノや概念に託してきた思いを文化として学び、掬い取り、お話に編み込んでくれる、というような話。

 

かつて一番はっきりと扱われたのは、真剣乱舞祭2017の「九十九話で終わり、完成しない百物語」。
それに絡めて”欠けているからこそ終わらない”付喪神九十九神の物語が綴られてきたように思うと、以前長文ツリーを書いたことがありました。
(マジで冗談のように長いのでいま読まなくていいです!!!!!笑)

togetter.com


そして、歌合で主役となった数字は『八』でした。


万葉集古今和歌集から六首+『神遊び』『かみおろし』で灯された忌火=歌の炎が八つ
和歌に絡めた話に、巴さんと徳川家の2話を足して、短編のストーリーが八つ
平安・戦国・幕末を2回り+再演2本を足して、2019時点の本公演も八つ

(ただの8でなく、カグヅチを斬った剣の先・中・柄、それぞれから生まれた神の数と同じ3+3+2=8つの物語になってるのが凄い…

新刀剣男士の二振に与えられたのは、肉体と八つの苦悩仏教の八苦
イネイミヒタクク…で綴る神の名前が、剣と血から生まれた八柱
客降りに入る前の、ライブ曲も合わせて八曲


まぁーーようもここまで『八』を重ねたな!!!!!!!! という感じなんですが(笑

普通に思いますよね。
なんで『八』なの?って。


私はこれを、ミュージカル刀剣乱舞からのメッセージとして受け取りました。勝手にね!!勝手に!!笑
キーワードは『鎮魂から生誕へ』『新たな時代』

 

2016~2018年のテーマだった「祭」は、彼岸と此岸が繋がる鎮魂の場だった。
今年は行事自体を一新して「歌合」となり、彼岸の魂を鎮める代わりに新たな命を言祝ぐ場になりましたね。
それを念頭に考えたときに、八の数字を複数の重層的な意味で受け取れるなと思ったんですよ。

以下ちょっと細かい話なので、御面倒でしたら赤字だけ読んでください…笑


-------------

ひとつ。
仏教の八苦。
これは『かみおろし』項で沢山書きました。
生は決して幸せなことばかりではなく、ただ在るだけで、人はさまざまな苦しみに晒される。


ふたつ。
神道の聖数、八。
カグヅチ神話もそうでしたが、八は日本神話において「多いこと・盛んなこと」を表す、神威に満ちた数だと言われます。
日本国を表す大八嶋。三種の神器である八尺瓊勾玉八咫鏡
八百万の神、八千代、八岐大蛇、八咫烏、八握剣、天八衢……連ねれば枚挙にいとまがありません。

スサノオノミコトを祀る八坂神社は、弥栄(いやさか)神社と別称されることもあります。
天皇弥栄(すめらぎいやさか)に使われるように、ますます栄えますようにという祈りの文言にも通じますね。
恐ろしいものと素晴らしいもの、どちらにも使われる強力な数。


みっつ。
これは特に作中で言及されてはいないんですが…
個人的には今回のフィナーレで、仏教でもなく、神道でもなく、民間に流布した『八』を、実は一番強く連想したんですよ。
「末広がり」
運が開け、今後がより幸福に、より栄えてゆきますようにという”祝いの数”としての八でもあるんじゃないかと。

これを感じたきっかけが、ライブ曲の色調でした。

「どんなに険しくても前を向かす」(『Impulse』/みほとせ再演)
「Stay with me 進んでもっと」(『Stay with me』/みほとせ再演)
「Keep your head up! 超えて行け」(『Brand new sky』/むすはじ)
「ここがどこだって、ちゃんと歩き出すよ」(『Nameless Fighter』/みほとせ初演)
「この手は明日へと伸びてゆく」(『約束の空』/葵咲本紀)
「描いていた未来へ僕らはゆく」(『描いていた未来へ』/あつかし)
「ひとつ残らず輝き帯びた世界 君と作ろう」(『響きあって』/みほとせ再演)
「千年後も 二千年後も そばにいられますように」(『百万回のありがとう』/みほとせ再演)
「見果てぬ明日へまた とびきり走るから」(『勝ちにいくぜベイベー!』/葵咲本紀)

今年のセトリ、4年分の公演から持ってきてるのに、去年までバランスよく設けられてたバラード・シリアス・アイドルラブソング枠がないんですよね。
代わりに明日・未来・前進、そして共にあることに纏わる曲で揃えられてる、結構思い切った構成だな!?と驚きまして。
そこから改めて見返して、「俺たちは前を向いて進んでいく、だから一緒に来てほしいんだ」って伝えてくれてるみたいなライブだな、と思ったんですよ。

 

特に、わざわざあつかしからピックアップされた『描いていた未来へ』には、『まばたき』でも『Love Story』でもなくこの曲が選ばれた理由があると思うんです。

描いていた未来へ僕らはゆくんだ
それぞれの愛を それぞれの想いを この手に抱きながら

答えなんていらないさ 僕らは自由だ
悩んだっていいさ 転んだっていいさ
声の限りに叫ぶんだ
生きるんだ

まさに新男士に手向けるエールみたいだ…!!って聞こえて、なんかもう、ほんともう、胸がぱんっぱんですよ…(;;)

明日へ、その先へ、「頑張る人を元気にする」っていう刀ミュのコンセプトを歌い続けてくれたライブだって感じたんですね。


さて、これら三つの『八』の意味を合わせるとどうなるか。

 

「生きるとは苦しいことだ。苦しみ、痛み、悩み、さまざまな困難が絶えず襲い掛かってくる」

「それでも貴方という命は、いくつもの思いに支えられ、まるで神の為すような途方もない奇跡として生まれてきた」

「きっと未来には幸いがある。より大きな光がある。そこに向かって、俺たちと一緒に歩んで行こう」

 

新しく生まれた男士へのメッセージであり
第二章の黎明を迎えるミュージカル刀剣乱舞の意志表明でもあり
令和という新時代へのエール、そしてここに生きている命すべてへの肯定でもある

(ちなみに、いかばかりよきわざしてか…の『昼目歌』は、天皇の代替わりの祭事・大嘗祭にのみ行われる秘曲です。『令和』の出典の梅花宴で詠まれた「梅の花~」の歌使ってることから見ても、平成から令和へ、はぜってーーー意識してると思います笑)

 

全体を通して、刀ミュ・男士・人、あらゆるものへの大がかりな予祝(あらかじめ祝いの言葉を述べ、幸運を引き寄せる祈り)だったんじゃないかなあと。
あなめでたや!!と花びらの中で舞い踊る男士達を見て、そんなことを思った『歌合』でした。
(お百度祷歌のお地蔵さんの話で後に回すって言ったのがここです。奇しくも仏教の地蔵菩薩、石切剣箭神社のお百度石に民間信仰の子供の守り神、全ての要素が重なるようなシーンがあったんですよね。)

 


ちなみに、おまけでもう一つ。
仏教、神道民間信仰のほかに、和歌好き審神者としては、和歌にまつわる「八」も含ませたいところでして…!!
伝説上の『日本最古の和歌』って、どんなものかご存知でしょうか。

 

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

 

『八』ですねえ!!!!!笑
古事記日本書紀において、日本で初めて読まれた和歌として登場する歌です。

文字も定まらぬころの神代の歌から、スサノオノミコトが三十一文字の歌を作ったことで人の世の歌が生まれた。
それが「八雲立つ~」の和歌、スサノオノミコトが出雲の国に妻と住むための宮殿を建て、八色の雲が立つのを見て詠んだ歌である。

…というのが、今回の歌合のテーマ「やまとうたは ひとのこころをたねとして よろずのことのはとぞ なれりける」の出典である古今集仮名序(+古注)にバッチリ書かれてるんですよ!!笑

めでたい雲が空に翻り

かささぎの声響き渡る

ぜってーーーーーー意識してると(略)

 

ちなみにかささぎについても加えると、「八雲立つ~」の和歌は「妻籠みに」とあるように、スサノオノミコト成婚の歌です。
かささぎは広い意味での瑞鳥ですが、七夕伝説で天の川に橋をかけるなんて言われる通り、男女や家族の結びつきの象徴でもあります。

ここで時間を2時間半ほど巻き戻してみましょう。
丸さんが最初の一首として詠んだ「あめつちの かみをいのりて あがこふる きみいかならず あはざらめやも」
言わずもがな、「貴方に会いたいと神々に祈っております」と男女の仲の成就を願う歌ですね。

…いや「あなたに会いたい」成就してるスゲェ!!!!鍛刀的にも和歌的にも!!!!!!


というわけで、先ほどの三種の八に加えて

「貴方と縁を結ぶことができてうれしい。これからこの本丸で、一緒に暮らしてゆきましょう」

というメッセージも加えられたらロマンだなぁ、と思った次第でした。

ハイここまででややこしい話おしまいですご安心ください!笑


----------

 


そんなわけで。
古今和歌集仮名序、そして歌合・乱舞狂乱に敬意を表し、

仏教の八
神道の八
人々の八
和歌の八

以上四つの『八』を以て、感想の結びとしたいと思います。

 

でもね。
今年も色々書いてしまったけど、言葉にすると「何を言っても理屈になってしまう(by巴さん)」んですよね。
こんな何万文字もかけた小理屈なんか無くたって、たぶんあれを1度見た方には

「なにかが生まれて来るってすごいことだ」
「新しい仲間、めでたい」
「あなたと歌合、たのしい!!」

全部ぜんぶちゃんと伝わってるはずで。
それが、それこそが、歌の持つ力だと思うんですね。

 

フォロワーさんの大好きなツイートです。(引用許可頂きました)
もうほんと、私の感慨もこれに尽きます。

誰よりも作り手の方たちが、歌と踊りの持つ力を学んで、磨いて、信じて、その集大成を私たちにぶつけてくれたんだと、そんな気持ちで毎公演観劇してました。

 

ほんとうに、ほんとうに、もはや言葉の追いつかない、とんでもない作品でした…。
この『歌合 ~乱舞狂乱~』を以て改めて、俺たちは『ミュージカル刀剣乱舞』だ!!という高らかな宣言を見せてもらった思いです。

彼らが向かう末広がりの未来を祈って、この先も楽しみに応援し続けたいと思います。

 


この作品に関わって下さったすべての方に~~~~~~~~~~

誉ポン!!!!!!!!

 

 

 

https://musical-toukenranbu.jp/pages/utaawase_ranbukyouran

M16『前進か死か
作詞:茅野イサム 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:本山新之助 

【美的風靡】 
脚本:三浦 香

M17『夕涼み 時つ風』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:オレノグラフィティ 振付:桜木涼介 

M18『描いていた未来へ』
作詞・作曲・編曲:関屋直樹 振付:本山新之助 

【小狐幻影抄】
脚本:白川ユキ

M19『狐や踊れ』
作詞:白川ユキ 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:DAZZLE 

M20『狐や踊れrep.』
作詞:白川ユキ 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:DAZZLE 

M21『ふたつの影』
作詞:白川ユキ 作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:DAZZLE 

M22『響きあって』
作詞:miyakei 作曲:大智 児山啓介 編曲:児山啓介 振付:本山新之助 

M23『百万回のありがとう』
作詞・作曲・編曲:みきとP 振付:本山新之助 

M24『勝ちに行くぜベイベー』
作詞:miyakei 作曲:大智 原田峻輔 編曲:原田峻輔 振付:本山新之助 

M25『獣』
作詞・作曲・編曲:SAKRA Stage Arrangement:YOSHIZUMI 振付:本山新之助 

M26『黒き影、寇す』
作曲・編曲:YOSHIZUMI 振付:桜木涼介 

M27『かみおろし』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:和田俊輔 振付:DAZZLE 

M28『君待ちの唄』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:和田俊輔 振付:DAZZLE 

M29『八つの炎 八つの苦悩』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:和田俊輔 振付:桜木涼介 

M30『あなめでたや』
作詞:浅井さやか 作曲・編曲:和田俊輔 振付:桜木涼介

*1:spoon2Di Actors vol.9